公差では100分の1以内を狙うフクエ精機(新潟・柏崎市)。半導体はじめ、工作機械、真空チャンバー、医療機器、食品と多様な産業で成果
福山英人社長
フクエ精機の創業は1980年、タイプライターやカメラなどの組み立てから生業をスタートさせた。
創業者の福山知則会長は「ほどなく専用機を借りて加工も手がけるようになり、その後、NCフライス盤、マシニングセンタの導入へと設備面での充実を意識しながら、1990年代に突入する辺りからは加工分野、特に半導体製造装置関連の仕事に注力するようになっていった」と振り返る。
その後、売り上げも暫くは、順調に推移するが、転機はやはり、バブル崩壊で、フクエ精機も、試行錯誤を重ね、2004年以降、マシニングセンタの活用法のひとつとして、3次元加工へのアプローチや切削工具の研究に取り組むようになっていく。
現在、受注している仕事内容は、半導体関連ほか、工作機械、真空チャンバー、医療機器、食品といった多様な分野に拡大。
「機械要素展などへの出展で引き合いが増えてきた結果でもある」と語るのは、2015年に代替えを果たした、子息の福山英人社長。入社は2009年になると言う。
被削材を問わず加工しているが、アルミ、ステンレスがメイン。ロット数は、20個~30個が最も多いそうで「公差では、100分の1以内を狙っている」。
福山英人社長の設備に対する考え方は、40番から30番への移行。重視するポイントは、スピードと仕上がり精度で、ブラザー工業の「S700X1N」の高速仕様と「S100X1」のハイトルク仕様の導入に結実する。
ユキワ精工のスーパーG1チャックは、この30番主軸のマシニングセンタを活かす方法を模索するなかでの出会いであり「当時、取引商社から提案された工具が京セラの7枚刃のエンドミルだったこともあり『短くて剛性の高いツーリング』で京セラに相談したところ、スーパーG1チャックを勧められた」と言う。
導入に当たって今年の7月に、ロボドリルとスピーディオで、従来のツーリングと比較検証。
「ビビリ音が消失し加工音が静かになったばかりか、精度も向上し、刃持ちでは2倍以上。切り込みを浅くして速く削っても工具が折れる心配をしなくても済む」ようになったほか「SUS304やチタン加工では加工時間の半減、品物によってはサイクルタイムが3分の1になるなどの成果を得た」。
現在、活用するスーパーG1チャック3本。
「使い始めて、4カ月ほどだが、このほど、更新でスピーディオを導入し、2024年の4月には5軸機のM-200の増設を計画。当然のことながら、スーパーG1チャックを新たに発注していくことになる」。
高速仕様のS700X1Nでも活躍するスーパーG1チャックを手にするオペレーターの高橋さん
スーパーG1チャック導入に際してロボドリルでもテスト加工を行った