荒取りは汎用機、仕上げはNC機を駆使して納期短縮図る「久留米工具研磨」(福岡・久留米市)。米国製トランザーフィルター導入で研削液は常にクリーン、工具の研磨面は「ぴかぴか」。
豊福社長
- 昭和54年に工具の再研磨で創業した久留米工具研磨は、まさにこの道一筋に歩んできた。
- 令和元年に創業者の父親からバトンを受け継ぎ、責任者となった豊福亮次社長は「エンドミル主体の再研磨メーカーで、超硬6、ハイス4の割合。月産は、およそ4000本。他に5%未満だが、特殊工具の製造も手がける。私自身は入社9年目だが、汎用機を駆使して特徴を出せるように配慮してきた」と語る。
- 顧客は、福岡、佐賀の両県が中心だが、大分や熊本、鹿児島の各県からも商社経由で受注していると言う。取引企業は、300社近くに上るそうだ。
- 「径が多種多様で、Φ1・2~Φ60と範囲も広い。しかも1ロットが数本、多い場合でもせいぜい20本くらい」。
- 汎用機を荒取りで工夫しながら活用し、NC機の加工時間を減らして、トータルで納期の短縮を図っている。
- 導入している工具研削盤は、ワルターの「ベーシック」、牧野フライス精機の「CNJ2-UH」、「CNJ2」「CN2」といったNC機に、同じく牧野フライス精機の「C40」など。
- 米国製トランザーフィルターを知ったのは、切削フォーラム21の2018年総会。
- 「当社も、切削フォーラム21のメンバー。従来、濾過機は、ワルターのベーシックに他社製を活用していたが、超硬粉が残っていた。早い話、十分に濾過できておらず、しかも毎月、フィルターを替える必要性がある。能力不足と手間がかかると感じていた」。
- 工具研削盤を常にきれいな状態で使いたいとの要望に、中村社長から、濾過能力の高さ、メンテナンスフリーの利点を中心に相談に乗ってもらったと言う。
- 「今年の7月に磁選機付きのV4を導入し、ワルター製ベーシックに取り付けた。この間、試行錯誤しながら、研削速度を上げつつある。研削液も常にきれいな状態がキープされ、機械の汚れも見られない。(工具の)研磨面、特にハイスの場合は、まさに鏡面のような輝きが得られるのには驚いた」と言う。
- ベーシックの月間稼働時間は、250時間に上るそうだが「V-4は大容量なので、今後、新たに導入する設備にも対応できる」。 濾過機が新たな工具研削盤を待ち受ける「構図」というのも興味を惹いた。
ワルターベーシックに取り付け、この間、試行錯誤しながら研削速度を上げてきたと言う
再研磨はエンドミルが主体だ
将来の設備導入に備え、容量の大きい「V-4」を導入した