ギヤ関連以外の部品加工分野拡大させ、2本柱で運営する小原ギヤー製作所

株式会社 小原ギヤー製作所

株式会社 小原ギヤー製作所

MX-420のオペレーターでもある小原部長。スーパーG1チャックで5軸加工機の研鑽を積む

歯車製造だけではなく、部品加工分野でも成果をあげている埼玉の小原ギヤー製作所を訪問した。
 小原竜太郎製造部長は「70年以上遡るが、祖父が歯車製造で起業した。製鉄や造船関連の、比較的大きなものを手がけていたが、25年前くらいに、ギヤを手がける前加工にも着手するなか、マシニングセンタ導入以降は、ギヤ関連以外の部品加工そのものの受注拡大へと舵を切っていった」と語る。
 現状では、ギヤ製作と部品加工の比重は1対1のイーブン。小原部長は他社でマシニングセンタの扱いに習熟して、およそ10年前に小原ギヤー製作所に入社した。
 「24歳のころだった。設備は2000年当初に導入された3軸のオークマ製立形マシニングセンタ『MX55-VB』と『MB56-VB』が現場に据えられており、ブラザー工業製タッピングセンタも穴あけ中心に活用されていた」。
 加工分野での転換点と言えるのが製紙業界からの「軸受け加工」の受託だったと言う。
 「マシニングセンタで工程を完結させることが求められたが、チャレンジしていくことを決意。加工方法はまさにトライアルの連続で、当然とは言え、求められる精度や納期対応に神経を遣ったが、このプロセスを通じて、工具やツーリングばかりか、治具設計についても研鑽を重ねていく、いい機会となり」、産業機器部品や製缶部品、水道関連、マシニングセンタで手がける歯車の分野(ギヤの追加工)・・・と新たな領域への参入を勝ち取るとともに、社内的には設備需要が発生し、2016年に新規でオークマの「MB66-VB」を導入するに至ったそうだ。
「5軸加工機の実践的勉強にも活用」
 ユキワ精工のツーリングを導入するきっかけは、人手不足解消も視野に入れ、今年9月に設備した松浦機械製MX-420PC10に対するツーリングの選定のタイミングだった。
 「多様な部品加工で実績を積み上げてきたMB66-VBに、他社製とユキワ精工のスーパーG1とを同じ条件下で比較検討を重ねた」ところ「回転数や送り条件を上げても、スーパーG1だと、ビビらず、切削音も静か。挽き目もきれいで、工具寿命も1・5倍に伸びた」との結果を得た。
 松浦機械製MX-420PC10はパレットチェンジャー付き。手がける部品加工は、100個、200個と中量のロット数が多い。マガジン数で90本に対し、スーパーG1チャックを60本導入した。
 小原部長は「CAD/CAMも導入した。5軸加工を駆使しながら、実践的に勉強をしていきたい。ギヤ製作を廃業するメーカーも発生してくるなか、歯車製作を継続させつつ、オペレーター育成にも注力していきたい」と結んだ。

スーパーG1チャック導入の「テスト機」にも活用された、オークマ製「MB-66VB」
スーパーG1チャック導入の「テスト機」にも活用された、オークマ製「MB-66VB」

径を違えたスーパーG1チャックがずらり
径を違えたスーパーG1チャックがずらり