東陽・羽賀社長に聞く2019年度の取り組みー「生産ライン全体のタクトタイム短縮」追求へ
羽賀社長
- 東陽は3月7、8の両日、刈谷市産業振興センターにおいてイノベーションフェアを開催。出展80社から様々な「次世代」を展望する提案がなされ、特に人手不足を反映し「自動化」に関してファナックが推進する製造IoT『Field system』、アイエイアイによる『ロボシリンダ』『エレシリンダ』の導入効果に関するセミナー等も開催。2日間で4100人が来場した。次世代を想定する東陽の今後の取り組みの基本的な考えを羽賀社長にヒアリングした。
- ◆
- 今年4月から「働き方改革」と外国人採用の本格スタートが切られようとしており、日本型企業の経営上のターニングポイント、と指摘する声も挙がっている。
- 「顧客に対するサービスレベルはキープしていきたい。そのためには、情報の可視化と共有化が必要であり、マンパワーの上でも、一ユーザーに対して複数人が関わって行ける体制づくりが急務と考えている」と言う。
- また、直接の生産現場に対しては「工程間の中間在庫や歩留まりを減らすための工夫(自動搬送ロボなど)への着目ばかりか、より広い視野で、生産ライン全体でタクトタイムを上げる方法を探求していかなければならないのではないか。AIやIoTの活用は、当然ながら、その延長線上に位置してくる」。
- 人手不足が深刻化するなか、生産財、特に工作機械分野に対する期待は大きくなってきた。
- 「不良品や不具合が発生する前に検知し教えてくれる予防機能を備えたマシンの登場に注目したい。何らかの原因で起動しなかったり、不具合が生じる前にアナウンスしてくれる機械が理想であり」、さらに言えば「感知した情報を基に、連携して機械が修正を行い、製造が続行できれば」とも。
- そして、さらに「保全係が24時間張り付いていなくても、きちんと機械が稼働する。時間や製造個数を基準にするのではなく、たとえば、熟練されたオペレーターの経験値が織り込まれた、AIロボットの活用による『自然な』運営ができないものか」と踏み込む。
- 人手不足‐次世代のものづくりの動向の軸を成すのは、今更、ではあるが、これに尽きよう。
◆
- フェアでは、自動化を意識した多くの提案がなされたが、今回、ミツトヨに着目した。
- CNC画像測定機「クイックビジョンアクティブシリーズ」と「計測データワイヤレス通信システムU-WAVE」に注力された。
- 前者は、自動エッジ検出と画像オートフォーカスで測定のバラツキを抑え、パターンリサーチでラフな位置決めでも自動測定を可能にする。また、ステップ&リピートにより、一度で複数個の連続測定も可能だ。
- 後者は、測定結果をワイヤレス通信で送り、エクセルデータにできるシステム。データ入力の手間やミスが省け、作業効率の向上につながる。内蔵型ではなく、既存のマイクロメーターやノギスにそのまま後付けでき、ユーザーにとって重宝されるだろう。IoTに関わる小型商品の登場とも言えようか。
- 自動化が進めば、これまで検査室で処置されていた製品が現場に置かれるようになり、ロボット搬送であれば、置かれたことを通信によって察知し、計測が続行される。新たな展開である。
2日間で4100人を集客した
注目されたミツトヨのU‐WAVE