第一クォーターは目標に対し売り上げ約10%アップ。
工具部門はコメート含め、7月1日受注分から価格改訂実施。セラティジットジャパン。

株式会社 CERATIZIT Japan

株式会社 CERATIZIT Japan

工具の技術顧問として入社した井上さん(右)と馬場社長

今期に入り、1クォーターが経過するタイミングでセラティジットジャパンの馬場社長を訪ねた。
 「3月~5月という括りでは、目標に対し約10%アップで推移しており、現状のペースをキープできれば、年商10億円が視野に入ってくる」との経緯に触れつつ「(客先の)在庫調整が一段落したのか、またコロナ禍で完全に止まっていた航空機関連が徐々に復活し始めてきたのか、超硬丸棒素材が動き始めており、顧客全般的に新規受注が出始めてきたことが大きく貢献している。その一方で、昨年までは手堅かった木工・石工、耐磨関連は、前年度比で大きな変化がなく、円安による輸出増加が追い風のドリル・エンドミルに比べ、国内需要は未だに明るい兆しが感じられない」と馬場社長は分野別に現状を素描する。
 今期の滑り出し三カ月の結果は予算を超えて維持したが、先が読めないのは変わっていない、とも付け加える。
 アナウンスされていた価格改訂では「CBセラティジットの超硬丸棒素材及び合金素材が、5月末受注分から、5~8%の値上げをお願いした。中国国内のAPT相場が高騰している関係が大きい」とする一方「4月、5月と欧州市場で超硬の原材料価格が急激に上がり始めており、弊社として、7月1日受注分からコメート製品を含む切削工具部門の値上げに踏み切らざるを得ない」との計画を明らかにした。
 製品動向では、カーボンニュートラルを意識した素材づくりに拍車がかかっているようで「新素材も近くリリースする」予定。環境負荷低減という観点から「業界初の鋸刃用P種(P35~40相当、11%バインダー)のCO2削減新材質PCUT22を発表した。ご興味がある方はぜひお問合せ頂きたい」。
 工具・合金素材部門の人的な新たな動きとなるが、5月1日付で、国内大手工具メーカーで40年間、超硬材料の開発、製造に従事していたベテラン、井上洋明氏が入社した。
 「合金素材の開発を経て、切削工具のアプリケーションについても従事させてもらった。セラティジットさんとの縁は、ドイツに赴任していた時、世界的に権威ある『プランゼーセミナー』に参加させて頂いて、同社の優れた粉末冶金技術に感銘を受けた」そうだ。
 名刺を拝見させてもらうと「技術顧問」の肩書が目に入った。
 「ジャパンでは、切削工具部門で、技術サービスに対応していく予定」とのことだ。
 馬場社長は「工具、合金素材ともに営業スタッフの募集をかけている。次世代育成が今も課題であり続けている。体制強化は不可避との考えに変化はない」ときっぱり。