製造工具の量産対応でANCA製FX5リニアを駆使する武田工業(愛媛・新居浜市)。簡易ローダー、機内測定のレーザーウルトラ駆使して連続運転に対応
FX5を自ら駆使する髙橋賢社長
創業は1982年、工具研磨の仕事は創業者が関わっていた大手企業の集研室からの勧めで、スタートした。
1984年に入社し、その後、2代目の責任者となった髙橋社長は「当初はインサートチップの再研磨に取り組んでいたが、人的なネットワーク網の活用を通じて、超硬エンドミルの受注が拡大。2000年前後には、地道な営業活動も奏功し、軸モノからカッター面取り工具等の工具再研磨全般を扱うようになっていった」との流れを語る。
再研磨は、大手企業の集中研磨室ばかりか、中小メーカーにも広がり、やがて製造工具にも着手していくようになる。
「大手工具メーカーから、直刃のエンドミルの先端にRを付けて欲しいといった依頼が入るようになり、工具種ではエンドミル製造で実績を積み上げていくことに」と髙橋社長。名刺にも「超硬エンドミル製作」と別枠で書かれている。再研磨6、製造4の割合だ。
「受注獲得に当たって、毎週、私を含め営業では40社以上の顧客を訪問している。商社ルートの受注も含め、再研磨、製造では月平均で2000本くらいになる」。
ANCA製工具研削盤は、10年くらい前に、当時、総代理店のスタッフの訪問を受け、説明を聞いたことで「良い機械だな」との判断に至ったそうだ。
「製造工具の量産への志向を強めていた頃で、以前から、京都の再研磨メーカーとも親しくさせて頂いて、ソフトウエアに無限の可能性を感じつつ、改めてANCA機の導入を検討するようになっていった」と言う。
そして、ようやく2022年12月にFX5リニアを現場に導入、髙橋社長自らがオペレーターとなって1年が経過した。
「簡易ローダーと機上測定のレーザーウルトラを駆使しながら、弊社初の工具製造の連続運転に対応している。公差内ならOK、NGなら自動で補正が入り、弊社では夜間・休日に大活躍してくれている。まだ一台なので、生産量は大幅にアップとはいかないまでも徐々にアップしている。もっと早く導入すればよかったと今では思っている」と初導入となったローダー(6ミリなら200本)と機上測定の各機能を絶賛する一方「従来機種に比べ、加工ワークに近いところで、細かく動いてくれる、作業者からも見やすい機械」と、FX5そのものの特長に言及する。
当然ながら、試行錯誤の毎日だったようだが「細かな問い合わせにもANCAジャパンの技術スタッフに対応頂き、サポートを得ながら、少しずつ、駆使できるようになってきている。感謝の言葉しかない」とのフォロー面でも高い評価を下す。
現在、ANCA機を若いスタッフにも習熟してもらおうと、社内でトレーニングを積んでいる。
「今はまだフル稼働に至っていないが、今後従業員不足が懸念されるなかFX5のような機械が必要になると思っている」。
機内がコンパクトにまとめられているのもメリットだと言う
簡易ローダーは、Φ6ミリなら200本まで対応可能だ