日本における設備導入のポイントは人手不足解消への貢献。牧野フライス精機の清水社長インタビュー。

牧野フライス精機株式会社

牧野フライス精機株式会社

人手不足への貢献をアピールする清水社長

コロナ禍による規制がほとんどなくなり、直近では、昨11月のJIMTOF、今年3月のGTJといったパブリックの展示会に相次いで出展した牧野フライス精機。両展示会を通じた主要な狙い、訴求ポイントは何か?改めて清水社長に聞いてみた。

 10年、20年を経ても「選んで(導入して)良かった」と言って頂けるよう努めていきたい-とは、今や清水社長の持論にもなっている。
 「そのカギを握るのは、日本市場に即せば、人手不足解消への貢献に尽きるかと思う。自動化、省人化、高生産性・・・といった提案が不可避となる所以だ」。
 この点で最初に触れておきたいのが、一番の売れ筋であり、牧野フライス精機が培ってきた自動化技術の最先端を具現化した、工具研削盤「AGE30FX」だ。
 「自動化技術の進展によって、非研削時間の短縮を狙い、自動ワーク交換時間の従来比50%削減や、砥石交換時間の短縮を実現した。また、自動ティーチング機能に対応したパレットの採用により、人が関わる作業が1時間から5分へと大幅に軽減したことも強調したい」。
 自動化の進展による効率アップ、人が介在する時間の短縮は、いずれも人手不足に直結する。
 AGE30FX、SG10への搭載率が増えてきた内蔵型マイクロビジョンシステム「monocam2」も(導入を)検討したい有力ツールだろう。自動化のみならず、不良率低減にも寄与している。
 「ドリルのオイルホール位相やウェブ厚をはじめとする、様々な個所を機内でチャッキングしたまま自動測定が可能で、測定結果をもとに次のワークに対し、自動補正し、高精度な連続加工を可能にする。自動化対応への一環であり、不良を減らしたいとのニーズにも沿った提案となる」。
 省人化と言う観点からも、monocam2は差別化可能で「その画像認識技術の活用により、ドリルの刃先のホーニングが可能となる。人に依存しないばかりか、手仕事よりも綺麗との評価を頂いている」点は、要チェックだろう。
 GTJでMG30に搭載、実演された高機能ロボットローダ「ROBOX」も、省人化のうえでは見落とせない。
 「最大で2340本のワークの収納が可能で、自動ティーチングに対応したパレットとの組み合わせにより、効率的な大ロットワークの自動供給・回収を可能とする」。
 工具研削盤のみならず、ブランク研削盤のTADでも、効率化、自動化が図られている。
 「粗と仕上げの同時研削による高能率化を図る一方、機内には自動ワーク交換装置を標準搭載し、最大で374本の連続加工を可能にしている」。
 最後になるが、シャンク径が同じなら、異種工具の連続加工を可能とするソフトウエア「スケジュールマネージャ」に、長さの異なるワークの、突き出し量自動調整機能が新たに追加された「スペックT」を昨年末にリリース。「自動化が進んでいる再研磨メーカーへの提案としても、差別化可能なアイテム」としてお勧めだ。
 設備の需要動向では決して楽観視はできないが「手動→自動」のニーズはなくならない。
 「日本市場では、あらゆる課題が、人手不足に絡んでくるかと思う。投資の必然的な流れであり、将来にわたって、需要はなくならない」。
 好不況に伴う需要とは異なる、確固たるニーズに違いない。