石川工具研磨製作所がロロマティック製NP30を導入。エンドミル、ドリルブランクの工程効率と精度向上に結実
オペレーターは、時間短縮のブランク製作の効率化を訴える
ロロマティックの段研削盤として、日本市場でも多彩なユーザーを抱えるNPシリーズ。30年以上の実績を誇り、現行は6世代目という「年輪」を刻むまでの歴史を有するまでになっている。本紙12月号では、7月に石川工具研磨製作所に導入された「NP30」について、石川社長、技術改善室のオペレーターを訪問し、導入メリットについて聞いてみた。
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オペレーターとの面談は初めてだったので名刺交換をさせてもらったが、その際「技術改善室」とのセクションが目に入った。
石川社長は「設備導入などを通じて、現場の技術向上に貢献していくことを期待している。NP30についても、その活用で得た知見や経験をもとに、技術改善を促していければと思っている」と解説してくれた。
半導体部品不足や流通の混乱などから設備の納期が長くなっているとの認識で質問すると「発注から7カ月くらい。しかも、円安に振れる前の段階だったので、価格的にも落ち着いていた」そうだ。
話を本題に戻そう。CNC段研削盤は石川工具研磨製作所初の導入だった。
オペレーターは「従来は汎用機を駆使しながら対応していた。『細くて長い、段付き、Rで繋がる』といった複雑な加工には相当な時間を要していたが、NP30によって、工程集約、時間短縮を達成。特に首下の加工が自動的にできるようになったメリットは大きい」ばかりか「ブランクのシャンク径を合わせておけば、異なる形状でも連続加工に対応できる。研削径が変わるたびに、機械側に指示する、その煩わしさからも解放された。異なる工具径の夜間運転も可能で、段取りさえ終えれば、自動的に流れていく」結果、導入から試行錯誤しながらこの4カ月間、予想以上の製作工具に対応できている。今後段階的に数量を増やしていく計画であると言う。
「もちろん、精度面でも安心で、1ミクロンが問題なく出て、しかも安定している」。
研削範囲はφ0・025ミリ~25ミリ、最大研削長では350ミリで、径に対し長い高アスペクト比のワークを得意とするようだ。
また、前タイプのNP3からNP30への移行に伴い、わずか数分で砥石のレイアウトが変更できるようになり、「Tスロットカッタ、ステップツール、ネック研削にも柔軟に対応できる」ことも付け加えたい。
石川工具研磨製作所の製造工具は、最終的には、ドリルとエンドミルへと結実していく。
2022年も、あと2週間で幕を閉じる。
石川社長は「2018年の売り上げをベンチマークとして、取り組んできた。今期は9割レベル。自動車の生産の不安定さが再研磨の需要回復の妨げになっている点は否めないものの、期待できる環境が整ってきたように思う。来年は回復した分だけ、『プラスになる』ことを期待したい」。
3月には、幕張メッセで3回目となるグラインディングテクノロジー展にも出展を予定している。
ブランクの加工例
新工場に設置されたNP30。導入から4カ月が経過しているが、効率が格段に向上したと言う