生成AI市場の活性化でAndroidへの引き合いに直結。安定した20ミクロンの穴加工に高い関心。
碌々スマートテクノロジー・海藤会長インタビュー
海藤会長
碌々スマートテクノロジーの海藤会長を訪問し、上半期の状況を踏まえつつ、後半戦をいかに闘っていくか。JIMTOFでの提案を織り込んで、紙面化してみた。
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上半期は決して受注環境は良くなかったが、計画目標はクリアしたと言う。
「10月に入った辺りから、台湾や中国の半導体、特に生成AI市場が動き出し、活発化するなか、20ミクロンの穴あけが安定して行える弊社のアンドロイドへの引き合いが増えてきた。上半期は注残でこなしてきた感があるが、下半期以降は市場からしっかりと受注を獲得していきたい」。
現状では海外比率が70%を占め、補助金絡みで一時期、活況だった国内市場は、今では低迷しており、目前に迫ったJIMTOFでは「微細加工のソリューションカンパニーへ」をテーマに掲げ、「参戦」する。
「切削ばかりか、研削加工も意識した複合微細加工機(コンセプト機)をはじめ、高精度加工と自動搬送を両立させるMEGAⅦ、新たに高速主軸を採用したVisionを出展する」。
特に複合化への対応は、碌々スマートテクノロジーの新たな一歩を刻んでいく端緒となる。JIMTOF以降、今後の注目機種となるのは論を待たないだろう。
「研削に必要なドレス、ツル―イングの各機能を機内で実現させていく。高精度化を視野に入れ、切削から研削までをワンチャッキングで行うことで、載せ替えを不要とし、結果として2台を1台の機械に集約できる副産物も享受できる。ブースでの意見交換や質問、ニーズ等も取り入れつつ、来夏の販売に向けて弾みをつけていければと思う」との決意を語る。
MEGAⅦを活用した自動搬送では、表裏加工のための位置決めをロボットハンドで行うデモを実演。Visionでは、機上での3次元測定と追い込み加工が可能な「COSMOS」の特長について改めてアピール。工具の状態(精度・摩耗・倒れ等)により寸法誤差が生じた場合、ワークをテーブルから外すことなく、機上で「洗浄」「3D測定」を行い、「追い込み補正」による再加工を可能とする。ワークを新たに段取りする際に発生する、位置ずれのリスクを回避するシステムであり、要必見だ。
もちろん、ブースでは、最新の加工サンプル出展や画期的なソフトウエアについての紹介も行われる。
「できなかった加工ができるようになる、この価値をどのように見て頂けるのか。付加価値へのご理解と共感を得られるよう、努めていきたい」。
会場ではシーズを見つけ、そして形にしていく狙いもある。
「形にしてこそ、次なる議論が展開できる。JIMTOFを楽しみにしていきたい」-そう、海藤会長は結んだ。
MEGAⅦは前回のJIMTOFで披露された。微細加工機の先陣を切ったMEGAはリリースからすでに28年になる