鏡面加工が開くものづくりの奥行きには、際限がない?新たな境地に唖然とする。
海藤満社長
「上期は、受注目標に対し達成率130%を出すことができた」と、上期を総括する海藤社長。
最近の動きとしては、鏡面加工に対する需要が高く、意匠部分をはじめ、樹脂金型、医療機器からの需要が発生していると言う。
「例えば、樹脂金型の流路の鏡面仕上げ。ここを鏡面にすることにより材料がスムーズに流れ安定的な樹脂成形に繋がる。また、パンチの寿命が伸びるということで、金型の鏡面仕上げへのニーズが発生しており、さらに、血液分析に使われる機器の血液の流路の鏡面仕上げでは、流路を鏡面にすると細菌が培養されないため、質の高い検査ができる」というメリットが享受できるそうだ。
「想定外とも言える鏡面仕上げの付加価値が生まれており、奥行きの深さを感じている」そうで、特に展示会では、想定外の「出会いの場」を実感するそうだ。
IMTS(シカゴショー)でも微細加工機に対する反響があり「これまでは、グラファイト電極加工機のみの出展であったが、今年は試験的にAndoridoⅡも出展した。半導体、自動車関係者に興味を持ってもらえた。例えば、リチウム電池用金型の精密加工、量産試作を微細加工しているという現場からの来場があった。展示会では、引き合いもあり11月初旬には商談・フォローのため営業が現地に赴いた」。
JIMTOFでは、超高精度高速微細加工機「AndoroidⅡ/5AXP/DD」、高精度高速小径微細加工機「MEGA‐SS600/E40H」、高精度高速微細加工機「CEGA‐SS300」が出展される。さらに、新製品となるコンセプト加工機「PC12‐C(仮称)」が初披露される。
展示方法としては、微細、超硬、穴あけ、鏡面の4分野に分けてワークサンプルを展示。曲芸的な加工も大きな見どころとなる。
「当社の場合、サンプルを見て頂くことが、機械のポテンシャルの把握に通じる」。
「AFTER JIMTOF」では、1月26・27日にプレミアムセミナーを開催する。JIMTOFで展示したワークサンプルの加工方法を「開陳」する考えだそうだ。
「JIMTOFでは、ワークサンプルがどのようにして加工してできたのか疑問をもってもらい、プレミアムセミナーで、その種明かしをする」という。
今回出展される「MEGA‐SS」は第5世代。
「製作最初は、こぶし大のワークサイズで金型加工用に制作したが、対応できる工具がなく2年間売れなかった」と、海藤社長は振り返る。
初代開発(1996年)から20年以上経過し、累計生産台数は、1千台を突破、微細加工はMEGAというイメージが出来上がった。そして、現在も微細加工の需要は広がりを見せる。
「微細加工は日本に残る技術となる。自動化は海外でもできるが、ミクロン単位の加工という匠の技は日本人が得意とするところであり海外では難しい。最近は、データ分析に匠の技が光る。今後は、匠の技という暗黙知を形式知としてデータ化し、新たな付加価値へと繋げていく」と語る。
JIMTOFでは、黒を基調に赤を挿し色としたブースで、ブラックスーツに赤いチーフを挿し、来場者を迎えるという「粋」に接することも。遊び心にも余念がない。