オペレーターの人材育成に「エキスパート マシニング アーティスト」認定制度を提案、導入した碌々産業

碌々産業株式会社

碌々産業株式会社

海藤社長

 

  •  碌々産業の今3月期の決算見込みは、前年実績プラスアルファ。業界的には雪崩を打って、下振れするなか、プラスαを伴った「高原状態」の継続であり、この成果は特筆に値するだろう。
  •  海藤社長は「5G関連の特需、しかもほとんどが中国や韓国といった外需に牽引される形で、今期の実績が積み上がっていった。注残についても75%が海外で占めている」。
  •  中国はスマートフォン、韓国はメモリー・・・いずれも5G関連だそうだ。
  •  「5Gによって、100倍のデータが送れるようになり、スマートファクトリー化の加速、自動運転の向上、カメラの性能アップ、医療現場における遠隔治療の進展・・・と、様々な領域での変革が期待されるなか、当社は、MEGAとAndroidを中心に、引き合い、受注ともに堅調に推移し、振り返ってみると、海外からの5G特需が際立った年との総括が引き出せる」。
  •  この流れを汲み、海藤社長は営業スタッフに「5Gの仕事を探れ」との指示を出しているそうだ。
  •  「5G関連=デバイス需要が核になる。例えば、加工を要する穴の数は単位面積当たり数倍になり、微細化、精密化を伴いながら、より精度要求が高まってくる。顧客とは開発段階からデバイスづくりに一緒に携わることになり、工具やソフト、加工環境とともに、微細加工技術にかかわるアプリケーションでどれだけ寄与できるか。微細加工機でサンプル加工、テスト加工を繰り返し行い、仕様に見合った部品作りの可能性を追求しながらソリューションを見出していくことが肝要になってくる」。
  •  当然の帰結だが、微細加工のトータルなエンジニアリング活動を標榜することになる。
  •  「だが、主役は、お客様であることに変わりはなく、なかでも、微細加工を推進するオペレーターの存在は大きい。微細加工の世界に感性ある人材を惹きつけ、育てていくことが何よりも求められていると我々は考え、マシニングセンタを操る人に敬意を払い、昨年4月から『エキスパート マシニング アーティスト』認定制度をスタートさせた」。
  •  認定の基準は5項目から成るが、重要なのは、加工技術を見える化(数値化=データ化)し、論理的に分析でき、かつ、自分の得たスキルを後人へ伝承することにためらいがない人、とのことだ。
  • 「初めてとなる今回は86人からのエントリーがあり、36人が認定された。会社ではなく、個人に授与するものだが、もちろん、社長に許可を取ってのこと。碌々産業のユーザーに限定もしていない。『エキスパート マシニング アーティスト』の集いでは、自ら製作した微細部品を持ち寄り、列席した人同士が刺激し合う場にもなる。来期も40人程度の認定をできるようにしていきたい。将来的には当社ではなく、たとえば、微細加工工業会といった公的機関に運営して頂けるようになれば」との抱負を海藤社長は語る。 目の前は、新型コロナウイルスで、経済活動にも大きな影響が出ている。 「来期も5Gの広がりが展望できるため、期待している。現在、コロナウイルスの影響でのマイナスは、収束すればプラスに転じる。そのための準備も大切になってくる」。

 

認定証

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