碌々製Android(Ⅱ)導入による、微細加工技術確立を志向する稲垣鉄工。今後の自動車業界を意識。
稲垣社長
- トヨタ自動車、愛知製鋼、デンソー、アイシンAW・・・といった顧客からの金型製造にかかわる仕事で「品質ありき」を実践、成果を積み上げてきた稲垣鉄工を訪問した。
- 稲垣徹也社長は「1960年の創業以来、培ってきた金型の設計・製作の技術を活かし、今では、試作・開発部品も手がけるようになってきている」との長年にわたる、信頼の上に立った事業展開に言及しつつ「当社は基本的に鍛造、プレス、ダイキャスト、樹脂・・・と『守備範囲の広さ』に加え、冷間鍛造型に代表される、+-1ミクロンレベルの精度を標榜している」。
- 手がける分野は自動車関連に特化しているため、自動運転化をはじめガソリン車に代わる「EV、FCV、HV」の大波を受けずにはいられない。
- 「ガソリン車に比べ約1万点の部品の減少を見るばかりか、高難度のプレス型、ダイキャスト型が求められてくる。早く、安く、は言うまでもない」。 負けない技術を構築へ「R&D」チームを今年1月から発足
- 微細加工技術確立なくして、今後の経営は成り立たない‐稲垣社長の危機感は、社内では負けない技術を構築していく「R&Dチーム」(各部署からの7人編成)の発足、設備では、微細加工機の導入検討に向かわせた。
- 「端緒として、FCV関係の冷間鍛造型の仕事にトライしていくことになった。顧客からの要望をヒアリングし、機械メーカー5社の高精度機を選定してトライ加工を実施。最良の結果を出した碌々産業のAndroid(Ⅱ)導入を決定して、昨年6月に発注、今年1月に現場に据えられた」。
- 稲垣鉄工では、ブランク製作、半完成品を手がける一般工場と、仕上げ工場となる、摂氏20度+-0・5度で管理する恒温工場とに分けられる。
- 「工場環境の整備、人の技術が伴う設備を考えることが第一だと思う。Android(Ⅱ)は、当然ながら恒温工場に配置し、排熱を外へと流す仕組みを採った。熱源そのものが、機械の十全な性能発揮を阻む要因になるからだ」。
- 1月の導入以降、1日当たり、5時間の稼働時間で、トライ&エラーを繰り返し行ってきた。
- 「CAD/CAMも含めた加工条件の検討を行いつつ、段取りの工夫、切削工具の選定と摩耗具合、機械そのものの『くせ』を知ることに努め、顧客の評価を得ていくことに注力している。現時点では『まあ、まあ』であり、早い段階で『OK』が頂けるようにしていきたい。軌道に乗り、量が出てくるようになれば、Android(Ⅱ)を追加オーダーする考えだ」。
- 仕事量は、最近の3年間を見たとき、右肩上がりを継続しており、恒温工場では、カールツァイスの3次元測定機を据え、品証への配慮も怠たらないが、研削盤であれ、マシニングセンタ、旋盤であれ、常に「複数台」を設備し、納期対応への「保険」をかけている。
- 「23歳で入社し、現在、52歳。もうすぐ30年になる。客先はトヨタ系の各社およそ15社で年間売り上げは100人弱で20億円の売り上げ」と稲垣社長は、最後に自身の紹介と会社の概要をまとめてくれた。
顧客からのニーズにAndroidⅡを駆使してトライアルを続ける。