医療機器を中心としたEMSを標榜する谷村電気精機(岩手県・北上市)
ユキワ精工製グリーンG1チャックで仕上げ時間20分短縮
谷村社長
医療分析機器を中心とする受託設計・製造会社(EMS)として、谷村電気精機が現在の業容に至ったのは、2000年以降だった。
谷村康弘社長は「当社の創業は1967年。私で4代目の代表。テレックスの組み立て(下請)を皮切りに、プリンターの設計・量産(受託)、そしてメーカー志向といった、多くの変遷を経て、現在のEMSのスタイルを確立していった」と語る。
売上は、医療分析機器が8割、情報端末機器2割という構成。顧客のほとんどは首都圏とのこと。
「医療機器製造の必要要件として、ISO-13485の取得がある。世に多くの会社がある中で医療機器に特化しているEMS企業はあまりないと思う。しかも、部品単体ではなく製品までを受注するEMSはさらに限られてくるのではないか」。
受託製造品の一例として、生化学分析装置が挙げられる。部品点数は一台当たり数千点に上り、金属加工部品も多くの種類があり、内製しているという。
「どのように対応していけばいいか」。
従来から、設備はマシニングセンタをはじめ、旋盤、複合加工機、ワイヤカットのほか、汎用機も駆使され、ツールは多岐にわたるが 「新たな加工へのアプローチとして、ヤマザキマザックの門型マシニングセンタ(50番)導入」は、特筆されるようだ。
最近の設備ではブラザー工業製スピーディーの導入が目立つ。2017年2台、2022年1台、そして今年に入って新たにもう1台が加わった。
ユキワ精工製ツーリングとの出会いは2017年。「ムリ、ムダ、ムラ」の社内改善活動の中で、グリーンG1チャックと遭遇した。
切削加工工場で従事する熊谷部品製造部長と小田嶋フィールドマネージャーは「YouTubeやネット動画でユキワ精工のツーリングに接した」そうで「その頃、丸モノの溝加工でビビリが発生して困っていた。切削条件を落として使わざるを得ず、そうなると、仕上げに、優に1時間は費やしてしまう。よし、一度、ヤマザキマザック(50番)でトライしてみよう」となり、グリーンG1チャックを試す機会を得たと言う。
「結果は仕上げ時間が20分短縮され、40分に。しかも、切削条件を上げても、ビビリがなくなり、効率も上がった」。
最近、導入したスピーディオ(30番)には、負荷の大きい加工でグリーンG1チャック、それ以外はスーパーG1チャックを活用している。
「グリーンG1チャックなら、たとえ40ミリ~50ミリの突き出し量の長い加工でも、ビビらずにエンドミル加工ができる。今後、スピーディオを増設していく計画だが、工具費は現状の半分以下にまで抑えられると予想している」。
グリーンG1チャック10本、スーパーG1チャック15本とのことだが、採用は今後も増えていきそうだ。
熊谷部長と-グリーンG1チャックをテスト加工したヤマザキマザック「VARAXIS iー800」
ブラザー工業製スピーディオでも負荷のかかる加工でグリーンG1チャックは活躍する。写真は小田嶋フィールドマネージャー