再研磨、特殊工具製造をNC化し、量産とともに顧客ニーズに応えていく豊国工業(愛知県・豊橋市)。ワルター製ミニパワーオートメーション導入

豊国工業株式会社

豊国工業株式会社

山内副社長

  •  精密切削加工に特化する豊国工業(愛知県豊橋市)にワルター製ヘリトロニックミニパワーオートメーション(ファナック製ロボットローダー付き)が導入された。
  •  豊国工業は、内径の穴を繋ぎ、角度を付けて中を通る光や流体を曲げる、内径加工を得意としており、長年、従事しているカメラレンズへ組み込むマウントや血液・薬品を通す検査装置、レーザーなどのコネクタ・・・同軸・真円度などが問われ、かつ機密性の高さが要求される分野を得意としている。
  •  山内一乗副社長によれば「当社は、グループ会社を含めて、ハード・ソフト両面で加工プロセスを開発している。個々の加工品で見れば、光学機器ユニット、自動車・燃料噴射装置部品関連が多いが、最近では医療機器、航空機関連も社内シェアを上げてきている」そうだ。

 

  •  参考までだが、航空機エンジン用インコネル材の加工トライアルに「合格」した実績も持つ。
  •  ドリル、エンドミル、リーマなどの軸モノ工具は年間でおよそ5万本使用。月ベースで4000本以上消費する、相当なボリュームに達する。被削材ではステンレスほか、アルミもメインを成す。
  •  「特に自動車部品の工具費は全体の9%と、無視できない比重を占めている。2万7千本を再研磨し、うち、9千本を外注、1万8千本を内製化しているが、熟練の技をNC化していくことで、当面は、工具費の40%低減を目指している」そうだ。
  •  ワルター製ミニパワーは、再研磨の内製化用としての利用を当面の目標としているものの、近い将来には、製造の日程管理にも活かしていく考えがある。
  •  「特殊形状の工具は技術開発の部隊で設計する。社内でテストできれば、顧客への製品の納期短縮にもつなげていける」メリットも見出せる。
  •  工具研削盤の機種選定に当たっては、ロロマティック、牧野、そしてワルターが候補に挙がった。
  •  「工具のサイズがフィットしたため、ワルターを選んだ。ソフトのツールスタジオもわかりやすいうえ、特殊工具にも対応でき、初めて操作する側から見て安心できるのが何より。昼間は開発が必要な特殊形状刃具を手がけ、夜間は無人で量産刃具の再研磨を手がけ、効率化をはかっていくイメージを持っている」と言う。
  •  平成27年度補正のものづくり新展開支援事業の認可が下り、購入。現場に据えられたのは、昨年の11月。各種、調整を経て今年の3月から稼働をタートさせた。
  •  工具材種はハイス、超硬の2タイプある。
  •  「再研磨については、今年度内に全数対応していきたいが、現時点では、その目標の3割程度。稼働は日当たり4時間くらい」だそうだ。
  •  今後は、工具の検査装置の導入も検討している。

 

導入されたミニパワーオートメーション。今年度内には全再研磨品に対応していく方針だ

導入されたミニパワーオートメーション。今年度内には全再研磨品に対応していく方針だ

 

部品で見る、豊国工業の歩み

部品で見る、豊国工業の歩み