星出技術本部長が読み解く新製品動向。工作機械の高生産性ニーズに対応

THK株式会社

THK株式会社

星出技術本部長

THKのJIMTOFブースに星出産業機器統括本部技術本部長を訪ね、出展新製品を俎上に乗せて頂きながら、最新動向について、技術的側面から読み解いてもらった。

 直動メーカーにとっての永遠のテーマは「高精度、高剛性、高速性と静音性、そして長寿命」に集約されると言う。
 星出本部長は「それぞれのテーマで毎年、レベルアップを図り、新製品として、世に問うていくのが、ものづくりに携わる者の使命と捉えている」と語る。
 まず、LMガイドの最前線と言えば、「超低ウェービング ボールリテーナ入りLMガイド」(形番「SPH」)に名指しできる。
 「先行する製品に、SPR/SPSがあり、ユーザーからの評価も高いが、汎用性を高めて、ISO規格に準拠したサイズ(世界標準寸法)はできないか?との要望に即応した。8条列構造とボールの小径化により、SPR/SPSに比肩する、直動案内トップクラスの超低ウェービングを実現している点も強調したい。姿勢変動を極力抑え込んで、高精度加工に貢献していく。ベストセラーの世界標準SHS形と互換性があり、今後、置き換えの促進も念頭にある」。
 ボールねじの分野からは、高速対応の新製品、BSMが紹介された。
 「フルボールタイプで高速化を追求。DN値は従来品の13万から17万へと大幅に向上させた。最大送り速度は121m/minを誇る。ねじ軸の外径はφ36~φ63で、ボールねじリードは16~30ミリという仕様。ナット外径をスリム化し、機械の省スペース設計にも寄与していく」。
 JIMTOF初日の11月5日から受注開始となったのが、高速ローラーリングの新製品「RT」。複合加工機の回転テーブルに求められる高剛性、高速性への対応が図られた。
 「高速旋回に適した3列ローラー接触構造を採用し、回転時の発熱を抑制することでDpw・N値30万を実現。内外輪に取付穴を設けることで軸やハウジングに直接固定ができるため、組付けに必要な周辺部品の削減にも寄与していく」。
 以上、LMガイド、ボールねじ、ローラーリングの新製品に即して、解説してもらった。人手不足に照応する、工作機械の生産性アップにいかに寄与していくかという問題意識を垣間見た。


工作機械用高速ボールねじ「BSM」


ISO規格サイズに準拠した「超低ウェービングボールリテーナ入りLMガイド」


高速ローラーリング「RT」