増産対応図るTHK。年末までに中国・常州、ベトナム、山形各工場で増産。
今野副社長
- 機械要素技術展(名古屋)に出展していたTHKブースに今野宏副社長を訪ね、「今」を解きほぐすなかで、これまでの経緯を再確認し、「最善の努力」の軌跡を跡付けた。
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- 中国・常州工場(7000㎡)でのLMガイドの増産は年初からスタートしており、今秋にはベトナム工場の増築(16000㎡)によるLMガイド増産、そして国内の山形工場の拡張(32000㎡)によって、LMガイドはじめ、ボールねじ、アクチュエータの増産に着手する。
- 「今年末までに、いっきに立ち上がってくる。昨年8月にこれら諸施策を決定し、順次、具体化させてきたが、さらに今年の3月下旬にはインド・アンドラプラデーシュ州(スリシティ工業団地内)にLMガイド製造工場の建設を決定した。2020年1月から生産に着手し、当初は日本から部材を輸入し、完成品の一部を輸出する計画であり、インドでの生産が始まれば、国内生産増産にも寄与する。もちろん、中長期的な拡大が見込まれるインド国内需要への対応が基本にある」。
- 予測の難しい1年だったと、改めて、今野副社長は振り返る。では、「足元」に関わる状況はどうか。
- 「人の雇用面では厳しさが伴うが、中途採用を含む、相当数の人的確保に注力するとともに、ロボット化・自動化を意識した設備増強の手を打ち、昨秋から現場に導入され始め着実に生産を増やしている。『困る』とのお客様からの、昨夏から秋にかけて集中したお声に対し、当社としては『①ご注文頂いたものはご購入いただく②実需が伴っているかどうかを明確にしていただく』というお願いをしている」そうだ。
- 昨年の10月から12月の受注が過去最高を記録。今年に入っても「工作機械関連からの受注の潮目は変わっていない」状況が継続している。
- また、「ロボット関連向けでは、三重工場において協力会社の場所も使いながらクロスローラーロングの増産を進めている。中国市場での自動化・ロボット化の進展を背景とした需要の拡大には目を見張るものがあり、需要全体の中でも高く、長期間続くと見ている」。
- さらに半導体製造装置分野にも今野副社長は言及する。
- 「販売実績で昨年は2016年比3~4割増え、今年もさらなる需要の拡大が見込まれている。中国において非常に多くの半導体関連の工場が立ち上がると言われているからだ」。
- 工作機械、ロボット、半導体製造装置といったTHKが向き合う主要な産業からの需要は、年内いっぱいは続く可能性がある、と判断する。
- 「工場内のボトルネックの解消を繰り返し行う。グローバルで生産設備の見える化を進めており、稼働率向上はもとより、新たなボトルネックの発見と解消を繰り返すような試みも絶えず追求している。もちろん、機械設備増強、人の教育、自動化等、稼働率アップを図るための手を尽くしており、お客様のご要望に応えられる範囲は広がってきた」。
- 最後に、THKは、2021年4月10日に創立50周年を迎えるが、その翌年の2022年度を最終年度とする新たな経営目標として、連結売上高5000億円、営業利益1000億円、RОE17%を掲げた。
- 「現在の旺盛な需要に応えていく過程で当社は鍛えられ、中長期的な需要の拡大が見込まれる中、新たな経営目標を達成すべく邁進していく」。
THKの機械要素技術展(名古屋)ブース