ワールドワイドで伸びしろが大きい「インド、東南アジア、中国に注力」するTHK。 「欧州は底を脱したが、『元気がない』」(中野LMシステム営業本部長)

THK株式会社

THK株式会社

THKブースを訪問し、寺町会長を囲むファナックの稲葉会長(右)と中村留精密工業の中村社長(左)

THKのメカトロテックブースに中野LMシステム営業本部長を訪ね、全般的な景況をヒアリングしつつ、個々のケースでは、設備総合効率(OEE)最大化プラットフォームOMNIedge、次世代リニア搬送システム、それぞれの「最前線」について取材を試みた。


 欧州でのEV化が頓挫するなど、自動車産業の動向は混迷を深めている。
 「国内においても自動車産業は減産が続き、勢いに欠ける面は否定できないが、ここにきて、ようやくプロジェクト案件が期待できそうな雰囲気が漂ってきた」と、浮揚に向けた「案件」を示唆する。
 9月に開催されたEMOショーの感触からは「欧州景気は底を脱した感はあるが、元気があるかと言えば、そうでもないと思う。日本同様に自動車はもちろん、半導体も今ひとつ」とコメントする一方「ワールドワイドで見た、伸びしろが期待できる国は、インド、東南アジア、中国。あと北米も挙げられるだろうか。なかでもインド市場に対しては、当社も注力しており、LMガイド、ボールねじで世界最大の工場を擁している」と語った。
 ブースで真っ先に着目したのは、生産現場のロスを削減し、設備総合効率の最大化に貢献するOMNIedgeだ。直動部品の予兆検知に始まり、回転部品予兆検知、工具監視、メンテナンス業務管理、スキル管理、そして、今夏から設備単位で電力の使用状況を把握できる、自社の山口工場でも展開しているGXソリューションへと、現場ロス徹底削減に向け、飛躍的に適用範囲を拡大させてきている。
 説明に当たっていた今村主任は「生産現場では、様々なロスが発生している。社内で検証済みのノウハウを形にして、これからもOMNIedge の認知度アップに努めていきたい。近い将来では、データ統合や生成AIのソリューションを提供していければと思う」とさらなる横展開に言及した。
 変種変量生産に寄与する次世代リニア搬送システムも要チェックだろう。リニアモータ駆動による高速性やスライダー上での直接の作業といった生産性向上や自由な搬送レイアウトによる多品種対応は見逃せない。
 「2023年の国際ロボット展に初出展。以来、加工以外に時間を取られたり、段取り替えで苦労されたりしている現場にフォーカスしてアピールしてきた。ワークを運ぶスライダーは、最高速度で3・0m/s、最高加速度で2・0G。モジュールは、1200ミリ、600ミリ、300ミリの3種類から選べて、用途に応じて垂直、水平それぞれの循環を自在に構築できる」と安東係長はアピールした。


最前線のGXソリューション。設備ごとに電力使用状況を把握する


自由に構築できる搬送レイアウトは魅力


会期中、連日、盛況を極めた