海外9拠点含めた総計で1470台のロボットが活躍するTHK。「全体の自働化ラインを設計し、各工程で段階的に個別自働化を推進」(榎本生産本部副本部長)

THK株式会社

THK株式会社

ロボット活用の現状と課題を語る-榎本副本部長

12月3日から4日間にわたって東京ビッグサイトで開催された国際ロボット展の来場者は、15万6110人と、2023年の前回を8千人近く上回り、ロボットへの活用、適用を模索する層の広がりを改めて実感させた。初日の3日には「未来のモノづくりを変えるロボットソリューション」のテーマで行われたディスカッションで、THKは、フィジカルAI導入を推進する花王とともに、ロボットユーザーとして参画。本紙では、登壇した榎本産業機器統括本部・生産本部副本部長による「製造現場におけるロボット活用の現状と課題」にフォーカスする一方、ロボットメーカー4社を交えた、ディスカッションのポイントを指摘することにした。

榎本副本部長は、LMガイドを世界で初めて開発、商品化したというTHKの出発点について触れた後「日本の生産7拠点で823台、海外9拠点を含めた総計で1470台というのが、ロボットの使用・保有台数。多関節ロボット、スカラロボット、ヒューマノイドロボット、AGV/AMR、直行ローダー等で構成されているが、多関節ロボットが多数を占めている」との概要に触れつつ「人手不足や生産性向上を企図し、LMガイドをはじめ、ボールねじ、アクチュエータなどの生産現場で活用を図っている」。

自働化推進の方針としては、全体の自働化ラインを設計し、LMブロック、LMレールといった、各工程で段階的に個別自働化を進めながら、手作業から治具化を経て装置化、さらに自働化へと段階的な移行を展望する。
「たとえば、当社の山形工場では、LMブロックの荒加工工程で、マシニングセンタ70台に対して、ロボット35台で自働化を図っている」。
このほか、自働化推進の方針で掲げられたのが、チョコ停の徹底排除、人が関与する付帯作業の削減、点検や清掃が容易に行える設計の徹底だ。
「チョコ停を分析すると、LMガイドの組立では、ねじ締め異常27%、エンドプレート異常27%で、この2要因が過半を占め、LMブロック研削加工では、ロボットハンドクランプ異常35%、ロボット形番判別異常21%と続いている」。
モノの搬送では、自律走行ロボット(AMR)が1階⇆2階を自動昇降しつつ、長距離・工場間搬送では、荷物を載せた搬送ロボット「SIGNAS」が活躍しているそうだ。
「ロボットの活用で課題となるのが、初期投資の高さ、熟練技術の代替の難しさ、多品種少量生産への対応、人財育成などが挙げられる」と総括した。
パネルディスカッションでは、ユーザーである花王、THKに加え、ロボットメーカーから、川崎重工、ファナック、不二越、安川電機が加わった。
川崎重工では、熟練技術の、フィジカルAI&協働ロボットによる再現技術の追求、ファナックからは、熟練工不足を協働ロボットによって、どのように受け継ぎ、実現していくかと言う問題提起、さらにロボットの未来像として安川電機は、フィジカルAIによってロボット自身が自律的に動く世界を見据え、不二越は、ティーチング不要のロボット像を描いた。
今回のTHKブースで新たに提案されたのが、ヒト型ロボット「NEXTAGE」の可動範囲の大幅拡大だ。AMRと組み合わされ、移動を可能とし、新たに昇降軸を設けたことで、上下(低い⇆高い)にも対応。デモの方にも注目が集まった。

AMRをセットし、昇降軸を設けたヒト型ロボットNEXTAGEを披露。可動範囲を大幅に広げた

パネルディスカッションでは、-AIと連携するアクチュエーション技術である、-フィジカルAIが話題に