創業100周年の一大イベントとしてJIMTOFに取り組んだYKT。堅調キープする測定分野

YKT株式会社

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柳社長(右)と庄司計測機器サポートセンター課長

YKTが創業100周年を迎え、JIMTOFを一大イベントとして、成功に向けて取り組んできたと言う。
 柳社長は「従来は東ホールに50コマ、西ホールに計測分野として12コマ出展していたが、今回は合わせて東ホールに60コマを確保して臨んだ。今回のJIMTOFを通じて、将来的な世界が見える、そんな企画にできればとの思いがあった」と語る。
 輸入機械の販売に絞れば、今夏から引き合い案件が先延ばしになってきて「今は来年4月以降のお話を頂いているのが現状」であり「世界的に見ても市況の回復は難しい現状にある」と柳社長は断じる。
 にもかかわらず、品質保証を重要視する日本の傾向からかもしれないが、測定分野、特にアメリカ・オージーピーのマルチセンサ三次元測定機の販売が堅調に推移しているそうだ。
 「見積もりが『円』で取引している点で、円安の影響を受けていないことも、追い風となっている。総代理店となって42年を迎えるが、今年も非接触の三次元測定機で世界ナンバー1の実績を積み上げることができた」そうだ。
 代表的な機種としてJIMTOFでも出展された「超広視野型マルチセンサ三次元測定機Fusion」を取り上げてみよう。
 視野サイズ、長さの作動距離、被写界深度の深さ・・・Fusionの光学設計は、それぞれ従来の約12倍、約2・5倍、75ミリを実現している。
 低倍率・高倍率のデュアル光学系を搭載し、高解像度カメラと併せて、より明るく、鮮明な画像が享受できる。一視野に収まる形状は、置くだけで瞬間的に測定を可能とし、さらにデジタルズーム方式により、倍率の変更を高速化し、トータルで測定時間の大幅短縮を実現している。
 柳社長からは、測定分野以外で、ユーザックという、これまで不可能だった加工を可能にするATC搭載複合研削盤についても紹介された。
 「半導体デバイスやコンポーネントの原材料に使われるSiCインゴット。成形加工を施し、ブロックへと形づくるには、従来、1日以上費やしていたが、ユーザック機を活用すると、3時間程度で済む。顧客は限定されるが、大幅な時短を生み出す、超多機能の複合円筒研削盤として、注目して頂ければと思う」。
 一般的なSiCインゴットの成形加工は、X線解析→外径加工→オリエンテーション研削→片側の端面加工→もう一方の端面のワイヤ切断という工程を踏む。各工程には、常に作業者が介在し、成形には丸一日はかかると言われる。
 「ユーザック機を活用すれば、前加工なしで全自動での加工が可能となる。複数工程を1台に集約することで、工程ごとの段取りや品質管理を不要とするだけでなく、精度の安定性の確保、歩留まりの改善、省人化、さらには所要床面積の削減にも貢献する」。
 世界の素晴らしい機械・機器を日本のマーケットに導入していく。その重要性は、今後も変わらないだろう。


創立100周年の思いをJIMTOFの成功の結束に導いたと言う