「追求したい日本市場における自動化の深耕」と語る柳YKT社長。ラッピング処理装置や切削工具画像測定顕微鏡拡販に注力

柳社長
11月30日付で、スイスフラン194円、ユーロ181円。円安を特徴づける為替状況に、基本的な変化はない。
「市況の不透明感に加え、どの通貨に対しても円安という事態の継続は、輸入機械商社にとって、販売の難しさに直結しており、当社も例外ではない」と語る柳社長。購入を検討する日本企業にとっても、手が出しづらい価格レベルに達しているのは言うまでもないだろう。
だが、その一方で、2025年を概観すると「販売の主力を担う電子部品実装機は好調に推移している」という明るい材料もあるなか「創立100周年を経て、次の100年を見据えるにあたり、今後の重点戦略として自動化への取り組みが日本市場において不可欠であると考えている。たとえば実装機の分野では、従来は人手で行っていた電子部品リールの段取り作業を、AMR(自律走行搬送ロボット)やソフトウエアの活用によって自動化できれば、作業効率の向上だけでなく、ヒューマンエラーの防止にもつながる」。
自動化への対応は、日本は他国に比べ、遅れているとの指摘は多いが、メカトロテック初出展となったSURFEDGEのラッピング処理装置は、切削工具分野における自動化提案と言えるだろう。
「当社は、全世界に対する販売権を持っており、世界マーケットを視野に入れている。10月のメカトロテックに続いて、11月のタイメタレックスにも出展し、現状では、日本市場だけでなく、南アジア市場も意識している」。
現場スタッフが、ブラスト機で対応しているラッピング工程を完全自動化。カセットに搭載された工具を機械に設置すると、ピックアップ→ローディング→磨き処理→アンローディングという流れをすべて担い、高精度な平坦度や鏡面仕上げを実現していく。 「半メーカー的な立場で、ラッピング処理をサポートしていく計画で、課題に掲げているのが、サービス体制の構築。AMRを駆使する『システム』として、市場に浸透させていければと思う」。
メカトロテックでは、大手工具メーカーの関係者が数多く来場し、手応えを感じたと言う。
「品質保証という点も、疎かにできない分野だ。円安においても、幸いにも米国・OGPの測定機は、円建てで取引している点で、円安の影響を受けておらず、追い風となって、確度の高い商談に結び付いている」。
総代理店となって、43年という伝統と実績も、信頼性の高さと切り離せない。
「マルチセンサ三次元測定機SmartScopeMシリーズは、カメラ、接触式プローブ、レーザーという3つの測定ツールを1台に集約。最適解を求めつつ、倍率の変更が一瞬でできるメリットも強調しておきたい」。
「また、小径工具でも高精細な画像により信頼性の高い測定を実現するTOOL LENSE切削工具画像測定顕微鏡も使い勝手が高く評価されている。名古屋支店でのデモ体制も構築した」。
自動化と品質保証‐この両輪で当面、YKTがどのような「次なる100年」に向けたスタートを切っていくか、期待したい。