ロロマティクの、特に段研で自動車メーカーからの再研磨・再生工具受注に成功したエムテック(岐阜・可児市)
筋金入りの営業力で会社を牽引してきた吉田社長
- 「当社は、大手工具メーカーへのОEM供給、大手自動車メーカーからの再研・再生工具の対応が大きな柱」-と語るエムテックの吉田勝社長は、もともと、ハウスメーカーの法人営業で、工場や倉庫を担当していた異業種からの「参入組」だそうだ。
- 「親戚が部品加工業を営んでいて、後継者候補として昭和48年に入社。仕事の流れからマシニングセンタによる機械加工も手掛けるようになった」その後、連れ合いとともに昭和60年に独立。部品加工業で、ものづくりの世界に飛び込んだ。
- 「オークマのマシニングセンタ1台設備して、ハウスメーカー時代に飛び込み営業で鍛えた精神力を糧に、顧客を発掘しながら、仕事の輪を広げていった。当初から暫くは、エンドミルなど、工具の再研磨は外注に出していたものの、その後、内製化を決意。平成11年に牧野フライス精機のCNJ2を導入して以降、工具づくりと直接、向き合うことになり、意欲はさらに高まっていった」そうで「2台目となるCNJ2導入前後からは、部品加工業から工具の再研磨へとシフトしていく」ことになる。
- 現在、工具関連では、再研磨が6割、製造(ОEM含む)で3割、特殊工具製造で1割という構成で、月産で、製作もので1万本、再研磨も1万本を数える。
- エムテックで興味深いのは、他社ではあまり聞かれない「ロロマティック棟」と呼ばれる専用の建物があることで、事実、そこには、段研含め、ロロマティック製の機械のみ、11台が設備されている。
- ロロマティックを導入するきっかけについて吉田社長は「工具の内製化から工具再研へと社業を転換、軌道に乗せていく過程で、愛知県ばかりか、岐阜、三重とエリアを拡大させながら金型メーカーを中心に仕事量確保に奔走した。そんな中、大手自動車メーカーの金型部門から高い評価を得て、平成16年辺りからボールエンドミルを中心に小径工具の再研磨、そして後に再生の仕事が入ってくることに。径で見れば0・5ミリ~10ミリがボリュームゾーン。小径工具づくりを得意とするロロマティック販売で、実績のあるYKTに相談した次第」との経緯を説明してくれた。
- そして平成16年に620XSを導入していくことになるが、一般的には、製造向けの機種。
- 「再研磨ができる形状を考えていただき、工具の溝をなぞることのできる、ナイフエッジのセンサーを付けてもらうことで小径の再研磨に対応できるようにした。コレットで掴んで、Vブロックで受ける、この支持構造が振れを極小に抑えていると思う。また、使用済み工具を送ってもらい、刃先部を切断、段加工する、工具の再生需要も発生、量的にも拡大し、翌17年には段研を導入するに至った」と言う。
- 大手自動車メーカーからの仕事は、平成20年からは2社となり、現状では、ロロマティックの工具研削盤7台、段加工機は4台を設備している。
- 「仕事量の拡大には、設備増強して、段取り替えを少なくする方が効率的。量が劇的に増えてきた段加工付きの仕事は特に、設備量の確保が決め手になった」と吉田社長は振り返る。
- 大手工具メーカーへのОEM供給についても、今後、量的拡大が見込めるため、10月からはセンターレスの研削盤2台導入をすでに決めている。
- 「仕事量的には、大手自動車、大手工具メーカーとの取引がコアになるが、売り上げの大半は再研磨が占め、顧客数は、およそ250社。納品はすべて女性スタッフで対応し、営業的な話も聞いてくるが、ことし4月からは営業の専任を採用し、フォロー強化を試みている」。