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開業10周年を迎えたあべのハルカス展望台からの大阪市内の風景

後継者不足による廃業は、すでに珍しくない。421万企業のうち、中小企業が占める割合は99・7%。従業者数では7割を占め、次の世代にバトンを引き継いていく「要件」をクリアしていくことがどの企業にも問われているばかりか、国家レベルの課題でもあり続ける。
生産財を生み出すメーカー、それを使って生産に従事するユーザーともに、ものづくりを標榜する企業群で構成されている。若い方の入職はもちろん、承継の「要件」についても、従来から様々な観点で議論されてきたが、日本の少子化の現実は、単なる人手不足のレベルを超えて、企業存続の厳しさを浮き彫りにしている。
東の「大田区」、西の「東大阪市」は、日本を代表する、ものづくりの集積地だが、周知のとおり、減少に歯止めがかからない。かつてはものづくりの拠点が国内での「移動」に留まっていたが、今や海外も普通となった。
とりわけ自動車産業のサプライチェーンがワールドワイドで展開されるに伴い、関連する業種の海外展開も加速し、日本市場でのものづくりの量的縮小が顕著となっていった。
ボリュームが少なくなれば、自ずと各企業の売り上げは減少し、規模も縮小する。雇用できる力も落ちて、待遇にも影響する。この負のスパイラルに、人手不足が加わると、存続そのものが問われてくるようになる。
日本に残るものづくりは、精密・微細加工、難加工と言われる分野に収斂していくのだろうか。ジャパンメイドのレベルを堅持し、向上させていく技術の研鑽、技能の向上を達成しつつ、利益確保を目指していく加工分野には違いない。
となれば、存続企業が限定されてくるのも「止むなし」との結論に達する。経済規模が膨らめば雇用者数は拡大し、逆だと縮小する。自然な流れだ。
親しくお付き合いさせて頂いている企業が、創業で節目を迎える場面も増えてきた。15年、20年、25年、50年、75年、90年、100年、120年・・・「企業は社会の公器」とは、松下幸之助の言葉だが、継続によってこそ、その役割が果たせる。ものづくりの事業承継は、とりわけ中小企業の根幹を成す。市場がシュリンクすれば、企業同士の連携追求も選択肢に入ってくるだろうと思う。