三菱戦略会議(MSM)を全国3か所で開催。来春には岐阜製作所内にテクニカルセンター開設へ

三菱マテリアル株式会社

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MSM(大阪)の様子

西日本を皮切りに5月半ばから下旬にかけて全国3か所で開催された三菱戦略会議(MSM)。製品の開発方向性や岐阜製作所内に新設されるテクニカルセンター、キャラバン活動の新たな展開など、加工事業カンパニーのアグレッシブさが各地で充満し、参加した特約店代表とともに、ベクトルをひとつにした。紙上再現を試みたい。

「見通しが楽観的ではないか」‐鶴巻二三男常務執行役員加工事業カンパニープレジデントは、三菱マテリアル・3月期決算の工具に関連する予測数字で、投資家から、そんな指摘を受け「今年度もいろんな施策を立て、実行を試みる。楽観的とは的外れであり、憤慨した」との冒頭挨拶は、鶴巻常務の温厚な人柄に通じている者から見れば「非常に印象に残った」ようだ。

裏を返せば、根拠のある見通しに、具体的で達成可能な目標が、キーワードである「ワクワク感」を軸にしつつ設定されたと言うべきか。

席上、鶴巻常務から打ち出された指標から見てみよう。(いずれの指標も2004年度を100とする)

まずは掲げられた売り上げ目標について。昨年度「160」で今年度は「167」、そして2020年度までに「254」。新製品開発や海外への投資規模は、今年度、過去最高となる「294」。

「投資には、エンドミル、ドリルを手がけるインドネシア工場が今年度内には完成する。スペイン工場も大幅に増強し、ドリルで40%、エンドミルで60%それぞれ生産能力をアップさせていく。国内の岐阜、明石両製作所は難易度の高い製品に特化、オーダーメイドにも対応していく方針だ」。

製品開発の方向性は、共通のニーズに応える「新製品開発型」から、客先ごとのニーズに対応していく「ソリューション提供型」を模索。

「現時点のソリューション提案型製品を挙げると、FMAX、iMXなどだ。今後の製品具体化に当たっては、ラインの立ち上げ、工程改善の直接提案、お客様との共同開発、自動車専用機メーカーとの共同ツーリング提案等を考えている」。

ソリューション力を直接提供するテクニカルセンターのグローバルネットワークの充実という点にも言及し「中国は来年中にリニューアルが完成し、国内は埼玉に加えて、岐阜製作所内に中部テクニカルセンターを新設。来春のオープンを目指している」そうだ。

山本元治営業本部長からは「今期は超硬製品全体で11%アップを目指す。国内6%、海外17%という内訳だ。製品別ではインサート関連が国内15%、海外17%、ソリッドドリルは、同7%、同17%、さらにエンドミルは同15%、同18%を目指す」との今年度の目標とする営業数字が掲げられた。

また、インサートの供給体制については「M級、P級ともに98%以上の在庫能力を備えており、欠品発生時のリカバリーは、10日以内で対応する」と説明。

活躍した特約店に対する年間表彰では、山本本部長から直接、記念品が手渡され、達成の喜びをひとつにした。

新製品説明では長田晃開発本部長が壇上にのぼり「鋼旋削シリーズのMC6000シリーズが完結し、高速、汎用、断続それぞれの加工向けがラインナップ。自動盤に適した材種で、炭素鋼旋削加工用PVD材種『MS6015』も5月20日から発売する」との新製品情報が寄せられた。

  

13台用意し、ミニキャラバン活動も始動。販売店の在庫対象に即売

 本紙が昨年同行したキャラバン活動は、1年間で2012社を訪問、延べ日数で321日間という精力的な活動を見せつけた。即売実績は3億円を突破したと言う。

 潮田良一流通営業部長によると「今年はさらに13台の『ミニキャラバン』隊を組織して、販売店の在庫を対象に即売をかけていくことにした」と新たな攻勢にも打って出る。

表彰される金野マルヨシ社長

鶴巻常務