複合機の展開が課題にーオーエム製作所新社長、佐脇裕二氏

株式会社オーエム製作所

株式会社オーエム製作所

佐脇祐二社長

工機事業全体を前年度から統括していた佐脇祐二常務が昇格、社長に就任した。立旋盤の専業メーカーとして、どのような舵取りを展開していくのか、注目されるところだが、昨年度の総括を踏まえた現状認識や今後の見通し、展望、さらにはJIMTOFの見どころなどを聞く中で「絵図」を描いていきたい。

 

 

前年度は期中から減速傾向を辿った。

「とは言え、航空機関連を中心に堅調に推移し、減収減益の中でもしっかりと利益を確保することができた。だが、『次に繋がるかどうか』。4月~6月を終えた時点では、判断できる状況にはない」。

円高傾向とその定着は、業界では誰もが懸念するところであり、2年先には「海外の売り上げを40%に」、との方針を掲げる同社も例外ではないだろう。

「円高はやはり気にかかる。海外販売で注力したいのが北米市場だが、現地代理店などとの合弁会社設立から1年が経過し『シカゴ』を攻める準備が整いつつある。当社のアメリカの子会社であるOM・USAも営業、サービスともに人員の拡大を検討しており、2、3年後には10人体制を敷いていきたい」との北米での攻めの「体制」に触れつつ「ディーラー網の構築や、納入ユーザー訪問で7月に訪米した。実績を積み上げてきた航空機関連各社はもちろん、今後、重電系ユーザーへのアプローチを強化していきたいと考えている。そのためにも、ニーズをきっちりと汲み取っていけるよう努力していきたい」と語る。

海外販売のみならず、次代を意識すると言う意味で、佐脇社長の念頭にあるのが「立旋盤+アルファ」の追求だ。

「立旋盤のナンバー1企業としての地位を打ち固めつつ、高度化、高機能化を目指す「弾」を準備していくことになる。市場から求められる性能、価格への対応を通じて、製品は具体化されていくもの。これからは、複合機の展開が当社でも避けて通れなくなると読んでおり、早々に開発に着手したい」との思いを語る。

納期対応という点では「1m~2mクラスであれば、6カ月を目指したい。10月から着手していく。そうなると、これまでの売り方の見直しに繋がるばかりか、生産の最適化を図ることにも通じる。短納期対応への意識によって、社内のいろんなセクションの『改革』が引き起こされることを期待したい」。

今秋のJIMTOFでは、「VTLex」の進化版で、高剛性化を追求した「VT7‐1600i」が披露されるようだ。

「精度のみならず切削能力を高め、加工時間の短縮を狙いたい。高級機志向の、より差別化を具体化したものと受け取っていただければ」と説明する。

最後に予測は難しいものの、今年度、2016年度全体の見通しについて佐脇社長は「基本的には厳しい。逆に、今後の伸び代のために何をしていくか。来年度以降の底固めに何をしていくか。ひとつの解は、北米にある。9月の米・シカゴショーでは、VTLex800とNeoα‐16EXの2機種を出展。需要喚起に努めていく」。

切粉の大きさも弩級だ

立旋盤を構成する部材の大きさは半端ではない゙