オーエスジーが新デモルーム披露、加工実演、テスト加工の場にも
293㎡の新デモルームOSG新デモルーム
オーエスジーは今年3月本社CSセンターの改装工事を終え、7月7日と8日、新しくなったデモルームを披露した。金型セミナーも同時開催され、二日間でおよそ200人が見学に訪れた。
CSセンターは1999年建造。築後17年が経過し、ユーザー、エンドユーザーのさらなるCS向上のため、居心地の良い加工実演と提案の場を提供しようと4ヶ月かけてリニューアル。提携メーカーが新製品を持ち込んで加工実演しながらのプレゼンテーションが行なえるほか、特定の顧客を対象にテスト加工を通じて課題解決の場にしたい考えだ。
英国のEU離脱で円高が進み、日本の国力低下が心配される。今回のリニューアルオープンに際し大沢二朗常務取締役は、「日本のユーザーは生き残りをかけて、停滞せず、進歩し続けることが大切。皆さまの進歩にお役に立てる企業でありたい」と表明した。
今回のリニューアルはこれまでも同社が真摯に行ってきたCS向上への取り組みの延長線上にある。80年を迎える再来年に向け、「80年を超え、次の80年につながる夢を語る空間」づくりが目指された。
◆「未来につながる夢を語る空間」を見学
デモルームは、白を基調とした清潔感漂う広さ293㎡ほどの空間。業界にあってこの配色は意想外に映るが、清潔を維持するための意識づけの意味が込められているという。ここに平常時は5台の工作機械が置かれており、訪問客の相談に応えている(この二日間、牧野フライス製作所の新型機V56iが金型セミナーでの実演のために導入されていた)。また、同社の頭脳を担うプログラミングルームがあり、工具の効果的な段取り替えの提案として整理棚が置かれていた。
特筆すべきは、室内に設置された5台のモニターである。カメラは10台に及ぶ。その5台のモニターに加工時におけるワークの変化の様子を映し出す。社内会議のほか、ネット環境が整えば、国内外の展示会で加工の模様をリアルタイムで放映できるという。つまり、クラウドによるライブ配信。もっとも、配信を待つばかりでなく、積極的に参加、すなわち映像による言葉の遣り取りもすでに視野の中だ。そして、これらの映像はエントランスホール壁面に設置されたテレビジョンにも投影され、企業イメージの向上に役立てられる。
あわせてエントランスホールの改装も行われた。「アールの効いた壁面のガラス壁」が特徴だ。周囲がゆるやかな丸みを帯び、訪れる人を歓待する同社の融和の精紳が感じられる。著名な画家の絵や彫像作品などもさりげなく飾られていて、好ましい。
そして、この「アールの効いた壁面のガラス壁」に、前述した配信画像が投影される。フロア部分も事務所部分と同じ材質の建築資材を使用しており、一体感が生まれている。
◆「金型加工の生き残り戦略」をテーマに金型セミナー開催
続いて、同社加工技術グループと金型コンサル共催によるセミナー「超深彫り加工の紹介」が開かれた。内容は、①超深彫り加工のメリット②必要な加工技術③加工事例④OSG技術のサポート体制の4つ。
①「電極加工」に代わり、直彫りを極力増やすことで工程を減らし、コスト削減につなげる提案。「電極加工」に係る人件費や設備などを減らせればコスト削減につながる。ただしその分、直彫り加工の領域が多くなり、加工時間も増える。そこで、直彫りの加工時間を減らすことを考え、精度と安定性の面から「3軸加工」でL/Dの長い加工を追求することに。その技術に関して200社の実績を持つ金型コンサルから加工技術が紹介された。
②「金型加工の生き残り戦略」と題した講演で同社は、「日本国内で製造する金型の加工時間と納期を30%以上短縮する新世代切削加工技術」として「低速高送り加工」(経済産業省認定)を紹介。高速高送り加工の弱点をとらえ、「解決の共通の鍵はこれ1つ」と結論づけた。
引き続き、ライブ配信システムでデモルームとセミナー会場をつなぎ、牧野フライス製作所のV56iによるデモ加工が行われた。この後、参加者はデモルームへ移動して実際に切削音を聞き、「低速高送り加工」を実感した。はじめの大沢常務の言葉どおり、同社は参加者に対し、「停滞せず、進歩し続けること」を期待している。
Rの美しさに見とれてしまうOSG本社 – Lobby
大沢二朗常務