齋藤社長が欧州歴訪。スイスの大卒初任給45万円に、日本との根本的な考えの違い見出す。

株式会社サイトウ製作所

株式会社サイトウ製作所

齋藤智義サイトウ製作所社長

 

5月初旬、サイトウ製作所の齋藤智義社長は、スイス、ドイツ、イタリアへと足を伸ばした。

「本社よりも最近では、角田工場にいることが多い。ものづくりの責任者としての立ち位置は、いろいろ考えられるだろうが、私としては、生産現場に外の空気を導き入れ、刺激をお互いに享受し合うことで、(発展的な)変化を期待するところがある」。

スイスでは、機械工具関連の展示会「SIAMS」に立ち寄った。マウンティアという時計産業の集積地で開催され、「小径」に関わる人であれば、注目度の高い催しだそうだ。

「私も初めて知ったが、スイスでは、大学卒の初任給は約45万円。人件費も物価も高い中でものづくりを行い、高付加価値戦略を推進するスイスの企業に根本的な考え方の違いを感じた。自社のものづくりと経営方針に一石を投じられた」。

サイトウ製作所の仕事の流れから見れば、アジア、欧米からの引き合い、受注が格段に増えている訳ではない。

「むしろ、国内を中心とする、リピーターの顧客からの動きが良く、今年に入ってからすでに半年が経過しようとしているが、昨年来の動きに陰りは見られない。『平均値そのものが上がった』感覚も持ち得ている」そうだ。

代理店の社長の言葉でもあるが「ますます、小径需要の高まりを感じる」状況に間違いなさそうだ。

顧客対応のスタンスでは「ドリルは0・01ミリとびで5000点以上あり、種類は多いが、特注も含めて短納期対応が大目標。工具の性能だけではない、顧客の現場への『対応力』で満足度を上げ、アトムへのファン度を上げていく努力を継続させていきたい」と短納期対応を全面に掲げる。

小ロット、多品種、短納期という、それぞれの要素が微妙に絡み合い、相互にせめぎ合うプロセスを経て、付加価値というものが生み出される。性能も品質も商品がお客様の元に届けられて使ってもらえて初めて認識される価値となる。

「昨今のIOTやインダストリー4・0がコンセプトから実用に変化する中、日本における匠の技術も変化に晒されてゆく事は間違いない。しかし匠の領域がゼロになる訳では無く、次世代の匠と最先端技術の融合の有り方を模索する事で、今まで蓄積してきた技術や経験を次の領域に昇華させたい。そうすればアトムの進歩が次なる道への扉を開く事に繋がると思う」。