メリット大きいリモート対応 「エキスパート・マシニングアーティスト」に35人認定 碌々産業
海藤社長
- 碌々産業の海藤社長を訪問し、現況を取材した。
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- 「この間、顧客の会議に営業技術のスタッフがリモートで参加するようになってきている。従来、機械導入を検討している顧客とのスペック判断は、ラボで加工したサンプルを持参し、その試験加工報告をベースとしながら、設計担当者同伴のもとに行っていた。リモートにより、時間と経費の節約に直接、繋がっているばかりか、スタッフの、他に抱えている仕事への対応も効率的に行えるメリットがある」。
- 5月にはシステムの立ち合いもリモートで行ったそうで「ある程度は可能なことが分かってきた」。また、営業スタッフは、ポケットにWiFiを携行し、打ち合わせの際にズームで設計部隊と「合流」して細部を詰めていく機会も増えてきている。
- 「他に展示会に代わるリモートセミナーの開催追求や、年内までに多様な動画等を掲載するといったホームページの刷新にも着手していきたい」。
- ところで、碌々産業での現時点での最大の悩みは、海外渡航許可が下りていないことだそうだ。
- 「4月、5月までは、まだ、顕在化していなかったが、訪問ができないなか、6月に入ってからは、海外の商談件数が目立って減少を辿ってきている」。
- 前期は、特需の発生の多くが、海外案件だったことが想起されてくる。
- 話を足元ではなく、将来にわたる、ものづくり全体の底上げに通じる海藤社長発案による「エキスパート・マシニングアーティスト」について触れてみたい。
- 「今回で2回目となる。4月に35人の方を認定させて頂き、まずは九州方面から中国地方の現場へ認定証を携え、回り始めた。授与式では、社外の方に注目されたことに本人のみならず、社長にも喜びを噛み締めて頂いた」そうで「(認定基準では)加工技術をデジタルデータ化でき、そのノウハウをためらいなく伝承できることが最も重要な点。そしてさらに仕様を満たすだけではなく、更なる過剰品質を目指して頂く。ここにイノベーションの端緒があると考えるからだ」との思いを語る。
- イノベーションと言う点で期待が高まる5G関連だが、規格が整ってきても、それを実現させるデバイスなくして成り立たないと言う点に通底するだろうか。
- 微細加工が日本のものづくりの潮流となり始めているなか、機械を稼働させ続けるための「年間保守契約」についても注目を集めている。
- 「顧客へのフォローとしてのビフォーサービス。メンテナンスをパッケージングした診断内容で、機械がダウンしないための、先まわり保全契約だ」。
- 最後にトピックスとなるが、経済産業省による「グローバル(G)ニッチ(N)トップ(T)企業100選」に碌々産業が選定された。特定分野での高いシェア、競争力を国内外で発揮した企業として高く評価され、微細加工機のリーディングカンパニーとして、今後も、その発展が期待される、政府の後押しと捉えられるだろう。