関西ものづくりワールド2016
多くの来場者で賑わう会場
3Dプリンター用金属粉末を提案――山陽特殊製鋼
- 高機能素材ワールドのフロアでは、山陽特殊製鋼が「今後、伸びるであろう3Dプリンター用金属粉末の提案」を目的として、同社の粉末を使用した3Dプリンターによる加工事例を出展。
- 同社の粉末は、ガスアトマイズによる方法で製造される。このため、3Dプリンター用粉末に要求される流動性に優れた球形状の粉末であり、かつ高清浄度の粉末となる。鉄、ニッケル、コバルトの3種類をベースとして顧客の要望に沿った粉末を提供する。
- 同社の粉末事業は、溶射・肉盛用の粉末などがあるが、5年程前から3Dプリンター用粉末を開発してきたそうだ。今後、3Dプリンター用粉末にも注力していくという。
装置・ツール・最適な加工プロセスを提供――ディスコ
- 精密加工装置、ツールメーカーのディスコでは、切断装置によるウェーハのデモ加工から研磨・研削・切削加工、レーザダイシング、ブレードダイシングの加工技術の紹介が展示されていた。
アテンドする広報室の谷澤聡さんは、機械要素技術展に出展するのは今年で三回目という。まずは、当社を知って頂くこと、そして加工の困り事を取り込み、大阪でテストカットができるということをアピールしたい」と語る。 ディスコは、半導体に使われるシリコン、セラミック、サファイア、樹脂などを加工する装置、ツールの製造に加え、何をいかにして加工するかというプロセスや技術を提供する。「装置、ツールがあってもお客様から頂くご要望は多岐にわたる。そこで、顧客ごとに最適な加工プロセスと加工技術の提供が必要となってくる」という。
今回の展示会では、「新規顧客の開拓」を目指す。
回転機械の異常振動を解決――シグマ電子工業
- バランサ・振動計測機器メーカーのシグマ電子工業は、一般回転体用、精密機械用、そして精密研削盤用のフィールドバランサを展示。
売れ筋商品となるフィールドバランサは、回転機械のアンバランス振動を計測しバランス修正する機器である。例えば、工作機械の主軸や研削盤の砥石のバランス修正を行うことで、加工精度や生産性が向上する。
また、ブースでは、回転機械の振動を常時監視する状態監視計「CM‐1001」も展示。こちらは、工作機械等の振動を常時監視する事で、早期に異常の兆候を発見し、被害を最小限に抑える機能を果たす。
「今回の展示会では、回転機械の異常振動で困っている来場者に当社の製品を提案し、解決につなげていきたい」と、アテンドする畑山雄二さんは語った。
来場者の目を引く「球面カッター」――栄工舎
「マニアックな精密切削工具」‐客先から命名された看板を掲げて出展する栄工舎。大阪営業所の山下雅史さんを訪ねた。以前も本紙に登場した山下さんは入社約3年が経過。今年4月から単独で代理店との同行ピーアール活動を展開しているそうだ。
製品の動向を伺うと、特に「球面カッター」「タップリムーバー」が注目され、手応えを感じたと言う。
- 「先日、独・AMBに出展した際も来場者の目を引いていたのが、この球面カッターとタップリムーバー。国内展示会でも、他社にはない特殊な形状やニッチな製品群のためか、興味を抱いて頂ける。今後、個々の製品の用途や利便性をしっかりとアピールしていきたい」と結んだ。
モノを総合的に提供――丸紅情報システムズ
- 丸紅情報システムズでは、stratasys製の3Dプリンター「Fortusシリーズ」から「Fortus450mc」が展示されていた。
- Fortusシリーズは、樹脂の造形を対象とし、「Fortus450mc」は、微細加工、高度な加工ができ、扱える樹脂の種類も多く、高性能で汎用性がある機種となる。主として、モックアップの造形に使われている。
ブース責任者の丸岡浩幸さんは、「今回は3Dプリンターを展示しているが、商社としての機能を活かした総合的なモノの提供をアピールしたい。例えば、設計、製造、品質管理に至る各工程に関する商品やノウハウの提供など」。特に、3Dプリンターを動かすために必要な3次元データの制作については、多くの顧客を長年サポートして積み上げてきたノウハウがある。こうした実績により自信をもった提案ができるという。
今回の展示会で総合的な提案を通して、新規開拓を図る。
エンドユーザー、食品・医療品・日用品業界、ロボットメーカーにアピール――日本精工
- 今年11月に創立100周年を迎える日本精工のブースを訪問。
関西支社の木村良彦販売店営業部長は、「関西機械要素技術展は、関西地区では大規模な展示になるため毎年出展している。今回の展示を通して近畿・四国地方を中心とした顧客、特にエンドユーザーに対して当社の製品及び名前を浸透させたい。また、 近年注力している『MRO』の需要も取り込んでいきたい。さらには、食品・医療品・日用品業界やロボットのメーカーへのアピール、販売店の営業ツールとして活用頂くことも目的の一つ」と、今回の展示の意義を語った。
ブースでは、主力のベアリングに加え、参考出展として「近接覚センサ」とコンディショニングモニターシステム(CMS)関連の技術を出展。
- 物体までの距離と位置を広範囲・高速で検出する近接覚センサは、人と協働可能な産業ロボットやAGVに搭載し、人や障害物を感知して衝突を回避するなど安全性向上に貢献する。製品の発表からロボットメーカー、AGVメーカー、さらに製造現場からの引き合いがあり「反応が良い」そうで、今回の展示会でも引き合いがあったという。
- また、機械の振動からベアリングの劣化度合い及び損傷箇所をセンサで発見する技術も紹介した。今後、ニーズが高まるBluetoothを搭載しているためタブレットを使った遠隔測定が可能となる。
その他、高加減速時の振動を低減するボールねじの技術も展示。この技術により、高加減速運転が可能となり、サイクルタイムの向上につながるという。
アテンドに当たった大阪営業所の山下氏
シグマ電子工業 フィールドバランサ、状態監視計「CM‐1001」に注目する来場者
ディスコ装置を使ったウェーハのデモ加工
丸紅情報システムズ工程別に総合的な商品を提供
山陽特殊製鋼 来場者から好評であった3Dプリンター造形例
日本精工多くの来場者が足を止めたブース