懸案だった洪水対応を具体化し、昨年7月に高台に移転した高知本社工場
海抜6mから海抜300mに移転した菱高精機
高台に移転した菱高精機本社工場
菱高精機にとって今期の話題は何か。今年後半に控えるJIMTOFでの提案も交えて、山下部長にインタビューを行った。
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開口一番、真っ先に言及されたのが高知本社工場の移転だった。
山下部長は「2度の水害に見舞われた教訓として、洪水対応が懸案事項だったが、高台で物件が見つかり、昨年7月に工場を移転。高さで比較すれば、海抜6mから海抜300mへの移動となり、南海トラフ地震への備えも考慮している」と語る。
昨年9月から全面的に稼働スタートしている。
新製品では、前回のJIMTOFに出展し、その後、受注生産に着手している自動清掃用工具「Titan」が紹介された。
「この1年、度々、お声をかけて頂くようになってきた。クーラントやエアを利用して、加工後のワークばかりか、工作機械内部も清掃する専用工具で、シャンク径φ20ミリ、φ10ミリの、お手持ちのツールホルダに対応する」。
最大16か所の穴からクーラントやエアで強力に噴射させることによって洗浄、清掃を行う。
「16か所の穴タイプでは、機械の主軸頭付近の清掃も可能。吐出し方向は微調整でき、スピンドルの回転、プログラミングによって、広範囲の清掃が可能になってくる。切粉などがきれいに除去されることで、機械の長寿命化にも寄与する一方、作業効率も改善され、タクトタイム短縮にも貢献する。さらにオペレーターの直接的な作業が減ることから、安全上のリスクが軽減されるメリットは大きいと思う」。
話は変わるが、2015年に第一号機を納入し、以来、菱高精機の主力機種として実績を積み上げてきた自動工具研磨機「イプシロン」の動向はどうか。
「今期は、部品の手当てが難しくなった局面もあったが、この3月に3台の納入が決まった。来期で取り扱いから10年を迎えることから、イプシロンで累計100台、研磨後、すぐに測れるメリットが魅力の画像工具測定器ジャストスコープ-RXも同100台の納入を目指していきたい」。
新規開拓で実績が積み上がれば、リピートオーダーが着実に発生している。
「イプシロンは、当初、再研磨主体と想定していたが、最近では、製造工具でも活用されるようになってきた」との話題性も。
11月開催のJIMTOFでは、ホーニングマシンの提案を計画している。
「手作業で行っている現状を機械に置き換えていく提案となる。再研磨後のホーニングをどうするか。需要はあると思う。まずはプロトタイプ機を世に問うていきたい」。
Titan装着
Titanの活用事例