トランザーフィルター日本がTCF(トランザーコンパクトフィルター)販売へ
「ろ過精度は3ミクロンだが、コンパクトで従来のOMF比2割〜3割安価に提供可能」(中村社長)

トランザーフィルター日本株式会社

トランザーフィルター日本株式会社

OMFフィルター(左)_TCFフィルター(右)

トランザーフィルター日本から新たな製品販売がスタートする。TCF(トランザーコンパクトフィルター)と呼ばれるドイツオリジンの技術で、コンパクトかつ、コストメリットに優れる。
 中村社長は「トランザーは高い、というイメージを払拭していきたい。ろ過精度は3ミクロンと、従来技術のOMF(ワンミクロンフィルター)の1ミクロンよりは落ちるが、逆にろ過能力はアップし、動粘度に対する感度が鈍く、価格は2~3割ほど安価になる。国内の同業他社と同等価格となり、購入に当たってのハードルがかなり下がるかと思う」との概要を説明。「TCFは基本的にトランザーフィルタードイツが10年以上前から販売しており実績を積んでいる。日本でも、ドイツ製のTCFユーザーがすでにいる」そうだ。
 ドイツ、スェーデンの大手メーカーなどで欧州製の研削盤と一緒に輸入され、それぞれの日本の工場で活用され「(研削液が)クリーンに保たれている」「(ろ過技術の)効用は実証済み」との評価が得られている。
 TCFは、直径15センチのフィルターに直径5ミリ程度の穴が約200個開いている。半分がダーティオイル、隣り合う半分がクリーンオイルの流路となる。
 「従来技術のOMFとの棲み分けを提案できるのもメリット」という選択肢の広がりは無視できないだろう。すでに大手工具メーカーを中心に前向きに検討されているそうだ。
 この選択肢という目線で捉えると、超硬の研削以外の用途で、注目されているろ過装置に「ICC-Ⅴシリーズ」があることを今一度、思いだして欲しい。
 従来、トランザーのろ過装置は超硬の研削には最適だが、ハイスの研削や鉄や鋼などの磁性体の研削には不向きとの評価が市場では一般的だった。その「ICC-Ⅴシリーズ」の第1号機がいよいよ、日本のユーザーに納入されたのだ。
 「2022年のIMTSで、ハイスや磁性体の重研削用として発表された。従来の逆洗工程に改良を加えたもので、ろ過容器下部の排油口のすぐ近くから圧縮空気を導入。これにより、気泡の上昇に伴い、ろ過容器内のダーティオイルが攪拌され、ろ過容器内やフィルターエレメントの周囲に絡みついたスラッジをほぐす効果を生み出している」。
 このシリーズでは、システムとして、磁選機、スラッジハンドリング装置が標準装備されている。特に磁選機には希土類磁石が採用され、最大で磁性体スラッジの80%近くを分離除去できると言う。
 超硬の1ミクロン、3ミクロンのスラッジ除去という選択肢に、ハイス、重研削、鋼材研削用というラインナップで、日本市場をどこまで深耕できるか。トランザーフィルター日本の活躍の場が広がっていくことに間違いはない。


ICC-Vシリーズ