栄工舎の今期売り上げは前期比約9%減の12億円台前半見込む
「部品加工の絶対量が低迷しているのではないか」(星野工場長)

株式会社栄工舎

株式会社栄工舎

星野工場長

4月の今期末を迎えようとするなか、栄工舎新潟工場を久しぶりに訪問し、星野工場長に最新の話題をヒアリングした。

 「今年は新入社員5人と、例年よりも多く採用することができた。4課ある現場を1カ月ずつ異動してもらい、本人の希望とこちらの判断を擦り合わせながら配属していくことになる」。
 フライス・旋盤などの1課、円筒の2課、NCの3課、刃付けの4課から成るが、標準品の寸法アイテムは、4万6000種類に上る。
 「公差は0~1ミクロン、φ0・2ミリ~φ100ミリ」という世界で、リーマは1ミリの中に1000サイズが収められている。たった1ミリの中に!って想像すると、どのような加工がそのリーマを待ち受けているのか、通常の感覚では実感が湧いてこない。
 「すべてをNC化できない世界が厳としてある。データをひとつ、ひとつ作成していく作業は怠れないが、NC化への努力は継続していくつもりだ」。
 今期は売り上げで約9%減の12億円台前半を見込む。
 「部品加工の絶対量が低迷しているように思う。需要への対応という点では、回転工具のみならず、特殊バイトづくりも手がけるようになってきた」。
 この1年での変化で捉えると、工場見学者の数が急拡大してきた。
 「やはり昨年5月のコロナの5類への移行が大きい。販売店の方が直接のユーザー様と一緒に来られる。しかも20人、30人と大勢でこられるケースも珍しくない。工程では、超硬よりもハイスの工程で立ち止まってくれる。旋削→フライス→焼き入れと、興味深そうに目を細めている光景が印象的だ」。
 新製品では切削速度300m/min、回転数1万2千回転、送り速度1万4000という高速仕様で話題を呼んでいる超高速加工用リーマ「CSOFR-P」がリリースされている。半導体需要とも関連する、超硬R面取りOリングアリ溝カッタ「OACR2」が寸法拡大され「小径加工向け」が充実されているのも無視できない。
 だが、その一方で、コロナ禍に突入する前後でリリースされたアルミ、樹脂、、高硬度といった被削材別のカッターシリーズや超硬樹脂用リーマも、まだまだ、アピールしていく余地が高いと言われている。
 「海外比率が10%から伸び悩んだのもコロナの影響が大きく、新製品販売のもならず、リセットして臨んでいくタイミングかとも思う」。
 設備投資では、省エネ補助を活用して、溝研削に特化した牧野フライス精機製「V3」を現場に据えた。
 「タッチセンサーのほか、シミュレーション機能もある」。
 来期の設備投資計画は、星野工場長の頭の中にはあるようだ。


今期は溝研削用の牧野フライス精機製V3を導入した