平板の精密加工でニッチ市場発掘する小椋工業【豊中市】、強力な武器は安田製マシニングセンタ

安田工業株式会社

安田工業株式会社

640Vを駆使する山本グループ長

平板の精密加工でニッチ市場発掘する小椋工業【豊中市】、強力な武器は安田製マシニングセンタ

プレート加工では位置決め精度が最重要‐そう、語るのは「平板の精密加工」を一貫して追求してきた小椋孝雄社長だ。

「ベースは、プラスマイナス5ミクロン以内に収めることが大切。しかも安定して達成させていくことが何よりも重要だ」。

日本のものづくり企業のほとんどは、中小企業。資金面、人材面ほか、いろんな「不充足」が横たわっている。

「ニッチな市場を常に探し求めるか、新たな市場を開拓していくか。早い話、常に汗をかき続けなければ、生き残れない。『攻めて』いくためには、いろんな仲間と連携して、需要を開拓し、請けられるようにしていかなければ、明日はない。なかでも積極的な活動を展開する商社とのお付き合いは『情報の共有』と言う点で、非常に参考になる」。

今からおよそ20年前、小椋社長は「小さな材料を高精度に加工する」を志向して独立、25坪の工場に大隈豊和の機械2台設備し仕事をスタートさせた。創業時、どの創業者にも共通することだが、金はない。しかし、志という、金で買えないものを抱いている。 「プライドが持てないような仕事は、止めた方がいいと思っている。携帯電話、コネクタ、その他電子部品の各分野からの受注によって、少しずつ、伸びてきた。ただ、常に顧客を探し求め、ニーズに対応し、応えてきた」と〝攻め〟の姿勢を堅持してきた。 息子も入社し、スタッフは総勢45人。本部長、工場長は技能検定特級、1級を取得している。中国人実習生も現場で活躍する。

安田工業製を設備したのは2004年、「YBM 950V Ver・Ⅲ」が最初だった。  「どのようなものづくりでも、機械ですべてできる訳ではない。しかし、他社の設備が我々の技術力の補完として30%の力を発揮してくれるとすれば、安田工業の設備は、仕事をこなしていくうえで50%の力を与えてくれる」との例えを持ち出して、小椋社長は評価する。

2013年には、「YBM 640V VerⅢ」を追加設備した。ワークに求められる精密の度合いに対応し、他社の設備とは違って+-23度の恒温ルームに設置されている。オペレーターの山本グループリーダーによれば、月間稼働時間で約230時間だそうだ。

「仕上げ穴を『この位置』で仕上げられるかどうか。安田製は、そんな要求を達成させていくうえで、我々の技術力を一段挙げてくれるのに寄与してくれる」。

今年のものづくり補助金を活用して安田製「YBM 9150V」を導入したかったそうだが、惜しくも「落選」。順送プレス用として設備したかったそうだ。

品質保証面では、東京精密の3次元測定機も導入されており、顧客への信頼と安心を与えていることにも留意したい。

「中小企業の悩みは、常に人材の確保。創業して20年を超え、実践的に力を付けてきてくれたスタッフに、今、会社は支えられている。だが、喜びとともに、最も苦労するのが人材」と小椋社長の締めくくりの言葉は、やはり「ヒト」だった。 (取材メモ)  小椋社長は東大阪の出身で、64歳。今では同社の「営業本部長」を実質的に担っており、東奔西走しながら、情報をかき集め、新たなチャレンジ分野開拓に余念がない。笑うと人懐っこい笑顔が印象的だ。

 

小椋社長
小椋社長
小椋工業工場内の様子
小椋工業工場内の様子