金属加工向けPCD工具生産へシフト。製造体制構築で、営業的広がりを展望。
画像チェックする江口正晃氏
金属加工向けPCD工具へのシフトが始まろうとしている‐木工用刃物の再研磨でスタートした、福岡の木工の町、大川市に拠点を置くダイヤ商事は、2年前から、転機を迎えつつあった。
江口晃社長は「少子化が進み、木工関連のボリュームが減少を辿ってくるなか、何を追うかという意識で金属加工向けの刃物制作へ挑戦してきた。木工向けは精度で見れば100分の5ミリ、金属加工はミクロン単位。世界が違うものの、生き残りを賭けて取り組んでいく」と、木工から金属への転換を図ろうとする。
手を加えた牧野フライス製「C40」を駆使しながら、この間、受注生産で、検査体制も充実させながら取り組んできた。
オペレーターでもある子息の江口正晃氏は「まだまだ、修業の身。C40の扱いに慣れることによって、そこで培われるノウハウを身に付け、駆使することによって生み出されてくる付加価値を大切にしていきたい。汎用機を駆使できてこそ、CNC機での差別化ができると考える」と実に基本に忠実な姿勢を見せる。
インサートチップを手がけていくための同時5軸仕様のCNC工具研削盤が間もなく現場に導入される。手の感覚を活かしたものづくりが今後、試されていくことになる。
木工向け、金属向け合わせた刃物は、PCDが全体の7割。「木工超硬工具は、品質は軽視され、値段だけの勝負になっており、厳しい面がある」事態を打開していくための、次なる一手が金属加工向けPCD工具の「できる体制」構築にある。
江口社長は「1本、2本というロット数から何百本というロット数まであり、汎用機とCNC機の使い分けを含めた、製造体制が求められてくる。十全な準備ができてこそ、営業展開の広がりも展望できる。決して急がず、しかし、休まず、地に足を付け努力を続けていきたい」。
カスタマイズされたC40を駆使して、付加価値を見出す