ロー付け工具を創業以来、一貫して製造してきた。その中で、特長ある新製品を毎回、連打する。
福井洋介代表取締役(左)と田中久和代表取締役社長
- 大阪府堺市の工具メーカー、ヤマトを訪問。昭和60年設立以来、ロー付けタイプのエンドミル、カッタ、リーマを中心に製造。リーマは刃径100分の1ごとにラインナップし、標準品は約7千アイテムに及ぶ。
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- 「ロー付け工具は、スチールのボディに超硬の切れ刃をロー付けするため、ソリッド工具よりも安価であり、スロアーウェイよりも精度が高く、切削加工では一発で仕上げ加工まで出来る。その一方で、銀ローの溶解温度(750℃)との関係で切削温度500℃に抑える必要がある」と、田中久和社長はロー付け工具の特徴を語ってくれた。
- 「ロー付けには、熟練の技術が必要となり、手間もかかる。この為、量産化しにくく、大手メーカーでは縮小傾向にある」そうだが、これが創業から変わらず貫くヤマトのスタンスを際立たせる。
- 新製品も毎年リリース。昨年は、既存の「モジュラーヘッド・Tスロットカッタ(M‐TC、M‐STC)」のサイズ拡充(D55~75)、「モジュラータイプ・コアエンドカッタ(座繰りカッタ)」のサイズ拡充(D42、D45、D50)及びM20専用アーバーを追加。「今年も新製品を用意している。ロー付けの新製品は他ではあまりない」と、「ロー付け」が差別化につながっている。
- また、自社で超硬の切れ刃に「ねじれ」を加えるのも特長の一つ。ねじれは、20~30度が通常であるところ、ヤマトでは最大45度のねじれ角まで製作出来る。「強ねじれ角は切削抵抗を低減し、切削温度の低下にもつながる」そうで、同社の工具は、自動車、金型、重電、船舶、建機などの大型部品加工の他、アルミ、銅、樹脂など非鉄系を被削材とする加工現場でも使われているそうだ。又、最近の新製品はマイクロアロイ(超微粒子合金)を採用し様々な被削材に対応可能としている。
- 田中社長は、平成25年4月に「縁があって」工具メーカーからヤマトに入社。翌月には2代目社長に就任した。
- 就任時から「受注を拡大する」という考えのもと、特殊対応に注力。同時に設備、労務、作業環境改善など体制強化にも力を入れてきた。平成26年はNC旋盤、昨年11月には高周波誘導加熱装置(ロー付け機)も増設した。
- 「製品については、モジュラータイプの拡充、設備については、NCフライス盤又はマシニングセンタの増設」など具体像を描きつつ、「今年も引き続き、特殊対応の強化とともに人材育成・設備の充実など体制構築に力を注ぐ。そして、いい形で後継の福井につなげたい」と、新年の抱負を語った。