森下和井田製作所社長インタビュー
「上半期は予定通りに推移。下半期も大きな落ち込みは想定していない」

株式会社和井田製作所

株式会社和井田製作所

森下社長

和井田製作所を訪問し、森下社長への面談を通じて、各種製品とリンクする市場特性を織り込みながら、最近の動向を紙面化した。

 第1四半期の売上高、営業、経常利益など、いずれの指標も前年前期を上回った。
 森下社長は「工具、金型関連ともに、受注環境は決して楽観視できないものの、現時点では、上半期で想定する売上高37億円、営業利益5億円、経常利益5億円、純利益3億円という各指標に近いレベルで推移している」としつつ「下半期についても、予想する範囲内で、結果を出して行けるよう、努力していきたい」と語る。
 金型関連で無視できない市場と言えば中国市場だ。
 「前々期は社内シェアで35%は占めていたが、現況で10%台までダウンする見通しで、回復の兆しが見えてこない。日本のバブル後に似た景況とも指摘されるなか、EV需要以外に力強さが感じられず、年内の回復は難しいと見ている」。
 工具研削盤関連が主体となるが、海外と言う括りでは、欧米は堅調に推移している。
 「昨年設立した和井田ヨーロッパでは、サービス要員の派遣を通じて、安心して購入いただける機会を追求、受注にも繋がってきている。ドイツを主体に、全般的に市況は良好で、生産活動はあまり落ち込んでおらず、新規、リピートともに反応がいい」。
 「アメリカは2019年にノースカロライナ支店を開設。工具研削盤3台を常設し、テスト加工にも対応して、新規開拓に貢献するなど、訴求力の手応えを実感している。インフレが鎮静化してくるなかで、メンテナンス対応含め、サービスに裏付けられた営業を強化していきたい」。
 海外では、中国、欧州、北米の3市場に加え、和井田製作所は新たにインド市場にも着目しており「代理店の選定や、市場調査等を経て、活動の可能性を模索していく」動きも出てきている。
 そして国内だが、需要層で見れば、工具業界の「伸び悩み」、金型業界の「弱含み」と言う環境下が継続している。
 「自動車産業の変革とも関わるだろうが、投資の量だけでなく、方向性も定まっていない印象。ただ、慢性的な人手不足のなか、省力化、生産性向上、新たな加工への対応といった取り組みは喫緊であり、そこに好不況に左右されない需要の源泉がある」。
 最後にJIMTOFで披露された、市場への訴求を展開している新製品4機種について「反応の良さで言えば、デジタルプロファイル研削盤SPG-XV。高精度なデジタル投影機の搭載により、チャートを不要とし、ワークの高精度計測を可能とした」「溝入れインサート研削盤のヒット製品をブラッシュアップしたDCG-G1も、納入頂き、効用を体感して頂きたい」「高い需要をキープしているレンズ金型だが、この分野に特化したジグ研削盤、SJG-L1は丸穴の精度を極限まで追求した」「全自動インサート外周研削盤APX-40は、ワーク計測装置の分解能向上など、自動化ニーズへの更なる高まりに呼応した」と、それぞれの特長をコメントしてもらった。

欧州で好反応を見せる外周研削盤「APX F50」
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