増え続ける受注に「納期1年へ」。3月末決算は期初の計画に対し「10%アップ」を予測する碌々産業

碌々産業株式会社

碌々産業株式会社

海藤社長

  •  碌々産業の海藤社長を訪問し、微細加工機を取り巻く内外の環境「最前線」を取材した。

 

 

  •  納期はほぼ1年と長期化している。
  •  「受注に陰りが見え始めるどころか、逆に増え続けている。オークマ製5面加工機などの設備増強等で、要となるキサゲ時間の短縮を図っているが、注残解消は見えてこない」。
  •  来期の生産計画はすでに決定済みで「現時点の受注活動は2023年以降」となっているようだ。
  •  目の前の受注環境を微細加工機に照応した産業でなぞってもらうと①半導体②スマートフォン③微細コネクタ④メディカル⑤5G基地局-等に色分けできるようだ。
  •  「特に半導体関連では、当社は、ウエハからチップ製作工程、パッケージ基板づくり、検査装置と、川上から川下まで対応させて頂いている。データセンター用メモリー需要・メタバース向け等、半導体不足が2040年まで継続するとの予測に即せば、活躍できるフィールドは十二分にある」。
  •  台湾のファウンドリー企業、TSMCが熊本に進出して、日本市場に半導体集積回路を提供するニュースは朗報に違いない。
  •  「スマートフォンはまさにカメラモジュールの高性能化に関わる金型づくり。燃料電池のセパレータ試作や、微細コネクタ、ダヴィンチなどの医療用遠隔操作機器部品、通信スピード100倍のデータをストックするメモリーデータセンタへの対応・・・微細加工が関わる領域は、まさに『旬』の世界と連動しているかと思う」。
  •  碌々産業を牽引している微細加工機を見ると、CEGAとAndroidに代表されるが、3年前に「MEGA-SSS」をリリースして以来、MEGAの人気が復活しつつあるのも興味を惹く。
  •  ところで、需要環境の好調さと「裏表」の関係かも知れないが、昨年来、碌々産業でも他の工作機械メーカー同様に資材調達が、困難を極めつつあると言う。
  •  「2月に入ると、調達先から納期回答がなくなり、コネクタやスイッチ類の代替品が底を着くありさま。苦肉の策として、海外商社に打診して、流通在庫を通じて部品を集めて、強電盤メーカーに発送して組付けてもらったりしている」と語る。
  •  3月末決算は期初の計画に対し10%アップの「着地」を予測しているものの「2月、3月の納期遅延状況が読めない。3月までに工場から出荷できなければ、注残が膨らんでいく一方だ」との危機感も。
  •  コロナ禍におけるサプライチェーンの滞り、寸断によって品不足が至る所で蔓延しているなか、碌々産業だけの問題ではない。工作機械業界全体を捉えている。
  •  「コロナ禍前の状況には戻らないだろうが、オミクロン株の収束を予想して、3月からはノーマルな対応ができるように指示を出している。いつまでも振り回されているわけにはいかない」。