生産準備を加速する両試一貫サポートを標榜するサンワ金型(愛知県・安城市)
一段と高い精度求め、安田工業製「YBM950V」「YMC650」を導入
鈴木社長
入社20年になる鈴木社長は「40年以上にわたって、大手自動車部品メーカーを主体とする、ラジエーターに代表される熱交換器の金型づくりを展開してきた」と自社の特徴を指摘しながら「3年前にトップに就任したが『継ぐ』と言うより、預かったものを正しく次に繋げたいとの思いが強い」と自身を語る。
2000年から始まった3Dモデル設計、マシニングセンタやワイヤカットをはじめとする多種多様な工作機械による部品製作、金型組付け、そして品質保証までを短期間で行える金型事業を展開する。
「対外的なアピールとしては、試作型の提供など、生産準備を加速する両試一貫サポートを標榜。2022年からは、金型に対する自らの評価も行えるよう『トライセンター』を立ち上げ、1万ショット程度の試運転を行っているほか、他社の金型のテストも請け負っている。客先仕様で最適化できる強みを発揮する技能によって、付加価値の高いものも、安価なものも、形にできる。これも弊社の特徴に挙げたいと思う」。
高品質と言う点でサンワ金型を表現すれば、+-0・002ミリの高精度部品、HRC64以上の超高硬度材料を用いた金型、多くの摺動部品を用いた複雑で精密な金型製作で差別化していると言えば十分だろうか。
サンワ金型は、鈴木社長入社時の20年前は14人体制、今では50人体制に拡大。平均年齢は35歳と若く「弊社の強みは、変化に対するスピード力」と鈴木社長はきっぱり。
「熟練者は決して多くはないが、各々のスタッフが得意とすることをリスペクトし合える環境づくりに配慮している」。
昨年11月には、先端のEVモジュール製品への対応強化のため、榎前工場を建設、稼働スタート(1期)したが、その際の主要新設備として、安田工業のYBM950V、YMC650をそれぞれ現場に据えた。
「EV化の需要拡大の中で、熱交換器は小型化され、精度が一段と求められるようになってくる一方、センサーやモーターなどの需要増が見込まれる。榎前工場は2ミクロンまでと、従来の5ミクロンを上回る精度レベルを実現したことで、EV廻りの技術的向上を狙って、受注におけるアドバンテージを発揮していきたい」。
精度と言えば、いつかは「ヤスダ」との思いもあったと言う。
「安田工業のマシニングセンタで下地の面粗度を上げていき(RZ0・1が目標)、磨きの労力を減らしていくとともに、コンマ1の100穴加工、コンマ1の溝加工・・・高精度金型づくりに必要な準備をしっかりと整えていきたい」。
鈴木社長は、工作機械メーカー各社の特徴を踏まえた活用を念頭に置く。「精度と言えばやはりヤスダ」への信頼は厚いようだ。
榎前工場は、3期まで計画されており、10年以内に完成にこぎつける考えだ。
新設の榎前工場に安田工業のマシニングセンタが揃い踏みした(手前YBM950V、奥がYMC650)