CBN・PCDに特化した新工場稼働。耐震性能に最大限配慮―日進工具仙台工場。3年かけて計画の全設備導入へ
PCD、CBNに特化した新工場。すでに稼働スタートしているが、将来の需要を見込んだ先行投資的工場だ
日進工具の生産拠点である仙台工場を訪問した。径6ミリ以下の小径超硬エンドミルに経営資源の大半を投入し、この世界のトップの地位を不動にしている現実は、あまりにも有名だが、このほど完成を見た新工場は、CBN、PCDの生産のみを展開する特化した工場となる。岡田浩一工場長に面談して、新工場の特長を中心に、「NS流」生産体制を織り込んで紙面化していきたい。
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今春、新工場が完成し、CBN、PCDに特化した生産がスタートした。
「国内はもとより、海外からの受注を含め、将来の拡大に備え、先手を打って建設した工場となる。幾多の経験を踏まえ、耐震性能を最大限、意識しており、16m~18mの杭径400ミリ51本を打設し、基礎部分には最大限注意を払うとともに、8トンまでの荷重に耐え得る配筋を施した。天井は『ブドウ構造』と言われる耐震性に秀でた作りで、ガラスウールも敷き詰めている」と言う。 自家発電設備に加え、今回、太陽光パネルを設置した。
精密な小径工具の生産の上で、重要なポイントとなるが温度管理。この点について岡田工場長は「外気温度の影響を押さえる為に、屋根・壁・床からの熱影響を極力抑えた構造としている」と言い、下、中、上という「3層」が意識された徹底した温度管理は特筆に値するだろう。
敷地面積は384坪。研削盤は油を使うため、「危険物一般取扱所」に指定されている。
「7月半ばの時点で、導入されている設備は、計画のおよそ半分。今後、3年ほどかけて完了させていきたい」との「絵」を描く。
「当社では工程内検査を重視した品質保証体制を敷く。機械の稼働状況は、電子棚札で見える化し、稼働率と生産本数が誰もが容易に把握できるようになっている」。
因みにシャンク研磨も「自働化」されており、「h4」の精度が出せるようになっているほか、双腕ロボットの導入による「自働化」も追求している。
「(自己完結型と言う意味では)包装システム・ケースの成形なども、すべて自前で行っている」。 仙台工場にはおよそ140人が働く。うち女性は30人。
「当社には熱心な女性が多く、いろんな場面で助けられている。自ら早朝出勤(午前6時半)を希望する方もいるほどだ」と岡田工場長が最後に語ってくれたのは「女性パワー」だった。
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本紙でも「自働化」という言葉を使ったが同社によると「作業は自動であっても、本質は動かす人にある、との思いを込めている」そうだ。担うのは人、その原点を大切にする姿勢に共感する人は多いだろう。
PCD工具のバージョンアップバージョンも展示会で積極的にアピールされている
ワークが大きくなっても「曇らない」。バージョンアップされたPCD工具は新境地を開いた