自動車整備部品を自ら加工するインパルス。ユキワ精工ツーリングで刃物寿命3倍以上の結果も

株式会社インパルス

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スーパーG1チャックとグリーンG1チャックを使い分けする田嶋社長

モータースポーツという、筆者があまり耳慣れない言葉に接した。インパルスの田嶋社長は、元々、レーシングドライバーで「今でもレースに出場したい」のが本心だそうだ。
 「とは言え、いつまでも現役のレーサーを続けられる訳はなく、周りを見ても、家業を引き継いだり、サラリーマンになったりと、その後の進路は様々。私は2004年に中古車の販売・整備の起業で自らの方向性を決定した」。
 誰しも霞を食って生きられない。田嶋社長のような車好きの人にとって、中古車の販売・整備は選択肢のひとつだったろう。
 だが、2008年のリーマンショックによって、中古車販売の市場が落ち込み、もう一方の整備事業にシフトしていくことになった。
 インパルスの中古車整備は「マニアックな層」をターゲットにした車が多く、時代的には昭和60年ごろの中古車。代表的なものではトヨタのハチロクが名指し出来る。
 「当時、まだ、珍しかったブログでPRし『修理の見える化』を図ったところ大量の注文に繋がった」ことにも田嶋社長の力量が伺えようか。
 だが、困ったことに2010年辺りから、手当てできる修理部品が少なくなり、特に生産台数の限られた車は修理そのものに支障をきたすようになっていった。
 部品加工に乗り出す経緯であり「2013年にマシニングセンタを導入して、整備に必要な、自社で使用する部品を自社で製造することにし、2015年からは同業他社への部品の販売にも着手するようになっていった」と言う。
 修理部品を製作し、自社の整備事業を円滑に進めるだけではなく、部品そのものの販売にも着手する-ひとつの判断にも、田嶋社長は周辺領域の広がりを見据えている。
 この間、製造する部品の種類と量が増え、さらにチューンナップするための新たな部品需要も発生するなか、2022年、2023年と相次いで、ブラザー工業のスピーディオを導入。ユキワ精工との出会いは、この30番主軸に合わせたツーリングの選定がきっかけだった。
 「私はユキワ精工のホームページで気になっていたが、取引商社からは他社製が推奨され、結局、ミッションケースのテスト加工で3メーカーを比較。径方向に対する負荷への対応力がポイントだったが、スーパーG1チャック装着時だけが、普通に切れたが、残る2社のツーリングでは『まったく切れなかった』」結果となり「(スーパーG1チャックによって)30番機で削れる領域を体感した」。
 荒加工から仕上げ加工まで、工具交換なしで行えるようになったことも評価ポイントで「効率と精度を同時に手に入れた」ことに田嶋社長は感謝する。
 その後、ユキワ精工からグリーンG1チャックのデモ機が提供され「使ってみて良かった」ことから「φ16ミリ以上ならスーパーG1チャック、φ12ミリ以下ならグリーンG1チャックとの棲み分けを行うことに」。
 特にグリーンG1チャックは、仕上げの精度の高さを意識的に追求する際には欠かせないようだ。
 現状で部品製作点数は月間、600個~10000個に上る。
 「切削条件を極力、上げていくようにしているが、それでもユキワ精工のツーリングを使用すれば削れてしまう。工具がビビらず、隅部でもビビリが抑制され、刃物の寿命は従来に比べて3倍以上だ」。
 2台の自転車のアルミの削り出しによるフレーム製造依頼では、2台のスピーディオを260時間フル稼働させて予定通り1カ月で納品した。受注先からは3Dデータを提供されただけだった。
 「レーシングドライバーだったことと関係しているかと思う。限界から始め、その現実を知って、学んでいく。加工も同様だろう、と」。
 自動車整備用の機器製作にも1年半前からてがけるようになっている。
 「ユキワ精工さんには、何でも質問させて頂いている。内容を問わず、対応はいつも至極、丁寧だ」とアフターフォローに感謝しつつ「グリーンG1チャックにφ16ミリ~φ20ミリのサイズが欲しい。また、ホームページで、ホルダのデータをダウンロードしようとしても、なかなか、上手くいかなかったりする。改善をお願いできれば」と田嶋社長は結んだ。


トヨタのハチロクなど対応車種はマニアックな中古車が多い