航空機への提案継続、H3ロケット需要にも期待、オーエム製作所・加藤副部長

株式会社オーエム製作所

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加藤営業本部副部長

 

  •  オーエム製作所を訪問し、前年度実績を踏まえながら今年度の滑り出しから全体の予測、そして11月に長岡工場で開催される内覧会について、本紙初登場の加藤季代詩営業本部副部長に聞いた。

 

 

  •  はじめに、昨年度を振り返ってもらうと、「2016年度は、先行する2年の補助金による需要の『先食い』の感があり、全体としては苦戦したものの、航空機関連は景気の影響を受けず、安定した受注が確保できた」と総括しつつ、2017年度の滑り出しについては「前期受注を見込んでいた案件が4月、5月に遅れて受注となった案件もあるものの、受注額は計画通り推移してきている」と言う。
  •  今年度のトピックスとしては、11月9・10日の内覧会開催が挙げられよう。見どころとなるのは、昨年のJIMTOFで発表したターニングの「VT7‐1600i」とミーリング機能付きの「VT7‐1600Mi」だ。因みにJIMTOFに出展した前者はリピーターからの第1号の受注も決定している。
  •  「『VT7‐1600i』は、既存機と比較して、より削れ、より高精度がコンセプトの上位機種となっている。社内検査と同時並行しながら、データ取りを進め、内覧会では、こうした点を加工条件や検査成績等の数字をもって具体的に提示していきたい」と語る。
  •  ミーリング機能が追加された「VT7‐1600Mi」は、間もなく完成予定で要注目と言えそうだ。
  •  長岡工場で進めている検査室には三次元測定器が据えられ、「内覧会では、機械と検査室をお披露目したい」との考えを示した。

 

  •  現在、本社に勤務する加藤副部長の直近の経歴に触れてみたい。
  •  2年半の上海駐在経験がある。同社の中国展開は、6年前の駐在員事務所から始まり、5年前に現地法人を立ち上げた。今では常石営業本部長をはじめ、合計9名の陣容となっている。
  •  「中国では、日本以上に人と人との関係が重視される」と語る加藤副部長。「日本人責任者が、駐在することになり、お客様に当社の本気度が伝わった」と言う。
  •  中国市場は、風力発電関連を中心としたローカル企業が主な顧客となり、納入実績は200台を超えた。もっとも、「中国で生き残っている顧客は、要求精度も厳しい。現状は機械単体の提供だが、今後は付加価値を付けていく。中国に限らず全ユーザー様へソリューションとして提案をしていく方針です」。
  •  今年度全般の予測については「受注が上向くと予測している。引き続き航空機関連は当社にとって重要な市場となる。また、一般の航空機と比べ市場は小さいがH3ロケットの分野にも期待している。東京オリンピック関連では、建機、土木、インフラ等の需要を獲得していきたい」。

 

  •  そして、加藤副部長が「最も期待している」としたのが建機だろうか。
  •  「ここ数年、悪い状態が続いた建機分野だが、回復の兆しが出てきた。中国が石炭の使用を抑制していくようだが、これによりシェールガス、オーストラリアやインドネシアの鉱山が動き出せば、当社立旋盤の大きなシェアを占めるお客様からの需要が期待できる」と語る。
  •  受注増が見込まれる今年度以降について「お客様の要求納期と工場の生産能力の最適化を図る事が重要な仕事になってくる。」と加藤副部長は結んだ。