金型加工に加え、微細加工分野に進出したシミズトライム。今では、売り上げを2分する勢いに。

株式会社シミズトライム

株式会社シミズトライム

実質的に加工部門を立ち上げた佐藤常務

公私ともにドラマと言うものがある。
 1956年に創業したシミズトライムは、木型屋から金型屋への転換を果たしつつ、新たな事業として微細加工分野に進出した。
 とは言え、2011年に微細加工部門が創設されたと当初は、実績はもちろん、社内で部品加工自体に取り組むのは全く初めてのことだった。
 「碌々産業のMEGA、CEGA、それにソディックのHS430Lといった微細加工機がすでに設備されていたものの、マンパワーは整っていなかった」と現在、加工部門を統括する佐藤常務は振り返る。
 微細加工以前の体制だったと言うのが正直なところだったろう。実質的にスタートを切ったのは2013年、佐藤常務の入社を機に始動したと言っていい。
 「私自身は、入社前は装置関連の部品加工に従事していて、多少の経験はあったものの、社内スタッフは加工では未経験者、おまけに顧客はいないから営業をかけなければ、数字さえ作れない」。
 社内外において切削加工の勉強会、社内設備を勘案しながらの営業がスタートした。
 「まさに製販ともに日々、トライアルの連続。3年を経るころには何とか微細加工の試作分野の受注に辿り着き、超硬の直彫りをアピールするまでになった」そうだ。
 最近の3か年で受注する業種比率が大きく変化し、現在、半導体関連が5割、自動車で3割、医療や食品が2割を占めると言う。
 「半導体関連は製造装置に関わる部品加工がほとんどで、自動車はエンジン系の金型の鏡面加工にチャレンジしている」。
 差別化のポイントは治具制作を通じて外段取りし、24時間体制を敷いていることだ。
 取引企業はおよそ30社。地域は偏在していない。ロット数的には200個~300個が多く、アルミ、SKD、SUS、鉄・・・と被削材の種類は多岐にわたる。加工サイズは手のひらサイズが多い。
 「微細加工分野のシェアを半分まで上げていくことを目標にしている。荒取りして、焼き入れ後に研磨して微細加工機で仕上げていくという流れをスタッフの成長とともに確立していきたい」と佐藤常務は近未来の絵を描く。
 ツーリングについては、これまで関西のメーカーの使用率が高かったが、半導体関連の需要拡大に対応するため、5月にブラザー製スピーディオ、7月にOKK製VM53RⅡの、それぞれの導入に際し、新しいツーリングを模索していたところ、取引商社からユキワ精工製を勧められたそうだ。
 「スーパーG1チャック、グリーンG1チャック合わせると50本以上導入した。切削の総量が多い場合は、ブレの少ないグリーンG1チャック、ロットが少なく精密穴に対応したいときはスーパーG1チャックと使い分けしている」。
 OKKのVM53RⅡでは、ツーリングは他社と併用しているが「グリーンG1チャックの方が、切削音が静かでビビリもない」との評価も。
切削条件を上げるためのツールとしても活用
 オペレーターの山内主任からは「VM53RⅡの切削条件を上げていくトライアルにスーパーG1チャック、グリーンG1チャックを活用している」とコメントする。
 佐藤常務は最後に「100分の5の要求でも、100分の1を狙えるよう、レベルアップを常に図っていきたい。個人的には工程を考えるのが好き。自動化のための治具づくりも楽しみ。社内的には情報の見える化を図っていくことを大切にしたい」。

VM53RⅡでは、グリーンG1チャックが切削条件を上げていくキーを握ると山内主任
VM53RⅡでは、グリーンG1チャックが切削条件を上げていくキーを握ると山内主任

ユキワ精工製ツーリングの活躍の場が広がる
ユキワ精工製ツーリングの活躍の場が広がる