小径工具研削盤が登場する。SS7(ダブルエスセブン)という新製品で、径0.05ミリから3ミリまで対応。反応はいかに?
牧野フライス精機新製品「SS7」と清水社長
牧野フライス精機、清水大介社長を訪問。はじめに、上期の状況を伺うと、「4~9月は前年同期比で横ばいとなった。工具メーカーが停滞または減速するなかで、大手、中堅工具メーカーともに従前通りの需要があり、全般的に滞りなく出荷できた。工場のキャパ的には忙しい状態が続いている」と、総括した。
来年9月には第2工場の完成が予定されており、稼働すれば生産能力は1・5倍にまで拡大する。「これまで対応できていなかった大きな案件や短納期に対応できるようにするための工場であり、単純に生産台数を上げるというよりは、生産余力を持つことを目的としている」そうだ。
JIMTOFでは、高精密CNC小径工具研削盤「SS7(ダブルエスセブン)」、高精密CNC工具研削盤「AGE30」、「MG30」、工具測定機「procam®」を出展する。
新製品としてJIMTOFでリリースとなる「SS7」は、φ0・05~3㎜の小径工具に特化した工具研削盤である。同社の小径工具研削盤といえば、CNSシリーズで知られており、CNS1から7まで製作されている。
CNS7の次世代版となる「SS7」は、2014年より開発を開始した。生産性を向上させるとともに、本体の安定性や直動軸の剛性を強化。CNS7に標準装備されているLVBローダーのワーク収納能力を1・5倍に拡大し、合計520本の収納が可能となった。また、ローダーは引き出し式となっており、手動で簡単に取り出すことができるオペレーターにやさしい設計となっている。
名前も新たになった「SS7」には、同社の小径加工機開発技術の全てがこの一台に集約されている。
AGE30は、長時間の連続無人運転を可能にした高い生産性、頑強な構造設計による安定した高精度・高能率加工を実現する工具研削盤である。会場では、ロングドリルのスケジューリングを披露する。
現在、受注の柱となっている同機が選ばれる理由について、「長時間稼働させても安定した精度を維持することができ、生産性も向上するという期待通りの評価をもらい、継続して更新して頂いている。引き続き、工具メーカーに対してアピールしていきたい」と、清水社長は語る。
受注ではAGE30に次ぐ位置を占めているMG30は、高度化し多様化する工具研削に対応する研削盤。エンドミルやドリルのような円筒形工具の他、サイドカッタやピニオンカッタなどの円板形工具を研削対象とし、多品種少量生産に対応する。会場では、ステップリーマの再研磨のデモが予定されている。
その他、工具測定機「procam®」は、「ROBOX®」に内蔵させ、φ0・1㎜エンドミルの自動測定を実演する。現在φ0・1㎜~12㎜までのエンドミルを測定可能であるが、「測定可能な径の範囲と工具種を今後も充実させていく」そうだ。
また、高精度コレット「R2」も出展し、来場者に取り付け体験も。「実際に触って『振れ精度世界一』を来場者に体感してもらう」とのことだ。
下期については、「不透明ではあるが、横ばい」と、高水準での推移を予測。海外は、「アジアを中心に展開しており、日系、ローカルともに売上が伸びている。今後も地道にシェアを伸ばしていきたい」と、清水社長は締めくくった。
牧野フライス精機第二工場建設予定地