澤田社長に聞くシー・ケィ・ケーの最近の動向。名工大との共同開発「レーザードーピング(LD)」では受託事業をスタート。
コロナの5類への移行に伴い、総会が復活。澤田社長も対外的な場に参加するケースが増えてきた
シー・ケィ・ケーの澤田社長を訪問し、日本をはじめ、タイ、中国各拠点の最新状況をヒアリングしつつ、名工大と共同で取り組み、成果を上げているレーザードーピング(LD)の最前線を取材した。
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日本国内は、自動車生産の不安定さの影響もあり、切削工具需要が落ち着いてきている。
「弊社も今期前半は良かったが、後半に入った2月からは下降局面に入っている。おそらく通期でも売り上げでは前年比マイナスが予想されるが、利益面では横ばいを見込んでいる」。
昨年からは設備投資を再始動させ、工具研削盤や測定機などに2億円強を投資。売り上げよりも、ヒトと設備を組み合わせた合理化を追求し、利益率確保に重心を置く。
タイは、2020年以降、年率30%以上の成長を見ている。
「知名度がアップしてくるなかで、製造品、再研磨品ともに売り上げが伸長している。そのため、設備の点でも補強し、7月からワルター製ミニパワーを立ち上げる計画だ。再研磨のみならず、刃先の改造にも対応し、特に『φ6ミリ以下の小径なら、シー・ケィ・ケー』をアピールしている。品質保証ではZOLLER製測定機の活用を図っている」。
再研磨では、技術に長けた日本人スタッフが先頭に立って、顧客を訪問。技術に裏打ちされた提案で、信頼を勝ち得ている。
中国では、4月に北京で開催されたCIMT会場を澤田社長自身が視察した。
「日本の大手メーカーの出展が目立っていたように思うが、自動車生産の落ち込みを反映してか、工作機械など、設備投資については模様眺めを実感。ただ、弊社は今後の需要に備えて、機械設備の発注を行った」。
開設から1年半を経た蘇州工場は、顧客の求めに応じて、生産もスタートさせている。
「進出している日系企業を中心としつつ、欧米の企業にもアプローチ。(大連からの出張ではなく)常駐しているメリットを感じている。テスト加工の依頼から受注に結実する、新規ユーザーも徐々に増えてきたのも、その表れだと思う」。
名工大との共同開発で注目される世界初のレーザードーピング(LD)技術。1月からは受託事業として、超硬ドリル、ハイスドリル、超硬チップなどに適用し、ピンポイントながら販売をスタートさせている。
「レーザー技術を駆使することで、素材自体の組成を変え、主に硬度と工具表面粗さがアップする。工具の長寿命化に繋がる。超硬工具だけでなく、ハイス工具や超硬の金型など、あらゆる金属に適用可能で、今後は弊社製品にもLD処理を適用していく計画だ」。
今後も、LD技術の適用と、その拡大に期待したい。
本社工場では最新設備を駆使した生産体制が構築されている