1月9日から「全国5支店営業体制」始動。いかに注力製品含む最新工具の市場浸透を図っていくか。岡田代表インタビュー
岡田代表 “Where Innovation Never Stops!” は同社の一貫したスローガン
イスカルと言えば「イノベーション」と口を衝いて出てくるような活動を今年はさらに徹底していきたい-そのひとつの指標となるのが、注力製品及び最新工具(高付加価値製品)の市場浸透率であると岡田代表は言う。
「注力製品を含む最新の工具には、当社の最先端技術が盛り込まれており、加工現場の生産性を向上し原価低減を実現できる。ところが、世界に比べ、日本でのこれらのシェアは、まだまだ低く、市場への訴求と浸透が急務である」。
従来工具と最先端工具の比較を突切工具に見てみると「φ100ミリのバー材を突っ切るのに、約50年前に発売し爆発的な人気を博したSELF‐GRIP(セルフグリップ)では4分30秒を要したが、最先端のLOGIQFGRIP(ロジックFグリップ)では、わずか7・5秒。歴然とした違いがある」。
いかに日本のものづくりの現場にイスカル最新工具の浸透が欠かせないか。
「このほど、新たに2支店を開設し、国内営業拠点を増設したのも、その一環」である。その内容を紐解くと、1月9日から、和氣氏を営業本部長とする全国5支店体制の営業組織がスタート。近畿、中四国・九州、東海・北陸、関東・甲信、東北・北関東の5支店で、その下に全国15営業所を擁することになる。
「更なる地域への密着、顧客へのサービス向上を通じて、最新工具の浸透を加速させていきたい」との考えがベースにある。
もちろん、その浸透にはパートナーである流通各社の協力が不可欠。
「昨年1月に発足したFCD(ファースト・クラス・ディーラー、17社でスタート)はその核となるが、今後も認定店をどんどん増やしていきたい」と、現状に全く満足していない。
FCDについては、「製造コスト診断ツールであるTDP(ツール・ドクター・プログラム)の実施、運用を図っていただくなかで、注力製品及び最新工具を活用し、加工現場の生産性向上と原価低減に寄与していくことを、メーカーである我々との共通の認識にしていきたい」。
さて、2024年の幕が上がった。切削工具を取り巻く市況について、どのような認識を持っているのか。
「日本における切削加工で自動車産業の占めるウェイトは高い。それだけにいつも注視しているが、当面は、ハイブリッドとエンジンの小型化に依拠する状況が継続すると考える。内燃機関のピストンの製造も、国内含め世界的に好調で、即時足元を悲観するような状況にはないと思う」。
「国内の自動車産業は堅調に推移し、半導体分野は、後半から勢いづいてくると予想。建機産業は、暫く落ち着きを見せ、航空機産業は、後半から復活してくると期待している」と素描する。
「2024年は総じて、切削工具は堅調に推移すると見ており、当社でも1割以上の売り上げアップを目標としている。市況に惑わされることなく、注力製品を含む最新工具の拡販によって、加工現場におけるイノベーションの具現化と、シェアアップを目指していきたい」。