五和工業では、ZOLLER製veturion活用で、段取り時間の劇的な短縮に直結。ボーリング加工では追い込み加工が不要に

有限会社 五和工業

有限会社 五和工業

抜口直彦社長

創業50周年を折り返し、今年から次の100周年に向けて新たなスタートを切っている五和工業を訪問した。
 抜口直彦社長は「旋盤工だった父が(私の叔父にあたる)弟と手を取り合って1973年に創業した。1990年代から日本製鋼所および、そのグループからの樹脂成形に関連する機械部品の仕事が増えてきた。船舶用のタービンやポンプで高いシェアを占めるシンコー、水門事業で知名度の高い豊国工業(豊国プラントシステム)といった有力メーカーとも、お付き合いをさせて頂いている」と語る。
 相談事には必ず全力を尽くす-をモットーとする。
 「一例だが、粘さのある難削材から成るノズル部品で、樹脂漏れのトラブルが発生し、相談された。聞いてみると嵌め合い公差がミクロン台。弊社にとっても、新しい素材への対応事例となったが、評価され、実績となった」。
 1ロットは平均3個。種類は900種類近くあると言う。
 受注内容は総じて、難削材、高精度への挑戦が付きまとう。
 顧客からの様々な要望に応えるため、5軸加工機をはじめ、数多くの設備を導入している。
 「それだけに付加価値の高い加工を手がけているとの自負がある」。
 ZOLLER製ツールプリセッター「venturion」が現場に導入されたのは昨年の7月。ものづくり補助金を活用した。
 「人を選ばず、ツールの測定が簡単かつ正確に、スピーディーに行える」との概略説明のあと「ボーリングバーを使用する際、段取り時間が熟練工で十数分、経験の浅いオペレーターでは30分を要していたが、venturionを活用すれば誰でも5分程度で可能に。ボーリングバーを使った加工がいくつかあるため、大幅な作業時間短縮に繋がっている」「最も時間を要していた、ある部品加工向けの工具段取りに6時間を要していたが、たったの30分に短縮した」-と劇的な段取り時間短縮事例に言及した。
 効率化を考慮した時間短縮としては、venturionの高機能活用事例「セットアップシート」機能の活用が挙がった。
 「ワークごとにツールリストを作成することで、工具準備の大幅な短縮を図ることができるうえ、測定結果は工作機械へ直接、転送できるため、加工を止めず、機械の稼働率アップに貢献する。顧客からの短納期要求への対応と言う点からも有効な手立てだと思う」。
 このほか、H7公差のボーリング加工で一発加工が可能となり、追い込み加工が不要となったこと、venturionによるプラスマイナス2ミクロンの繰り返し精度により、高品質な加工に貢献していることも付記したい。


昨年7月に導入されたventurion。段取り時間の劇的な短縮に貢献している


工具測定結果を工作機械に転送できるため、能率アップにも寄与する